[東京 30日 ロイター] - 政府が30日発表した4月の雇用関連指標は、完全失業率(季節調整値)が2.6%と前月から0.2ポイント低下し、3カ月ぶりに改善した。慢性的な人手不足の中で、企業の賃上げの動きが出ている。転職活動をしていた人が就職し、失業者が減少した。正規の職員・従業員は3634万人と比較可能な2013年以降で最多。有効求人倍率は1.32倍と前月から横ばいだった。

完全失業率はロイターの事前予測調査では2.7%と予想されていた。

就業者数(季節調整値)は前月に比べて13万人増加した一方、完全失業者数(同)は15万人減少した。失業者数が減少し、就業者数が増加したことを踏まえると「前職を辞めて仕事を探していた人が就職した」(総務省の担当者)とみられる。

<物価高が求人・求職両方に影響>

4月の有効求人倍率は1.32倍と予想されていた。

4月の有効求人数は前月比0.6%減だった。原材料価格の高騰や物価高が受注環境を悪化させ、建設業や製造業で求人を控える動きが出ているという。一方、有効求職者数は同0.7%減。物価高の影響などでリスクをとった転職を回避する事例がみられた。

厚生労働省の担当者は「物価高が求人、求職の両方に影響しているが、人手不足感がある中で賃上げ期待から求職活動を活発化する動きもあり、雇用情勢は悪いというわけではない」と説明している。

(杉山健太郎)