[東京 24日 ロイター] - コスモエネルギーホールディングスの山田茂社長は24日、ロイターのインタビューに応じ、6月の株主総会で導入を目指す筆頭株主・旧村上ファンド系への買収防衛策について、「極力一般株主の賛否を問いたい」と述べ、同株主を除く形での異例の決議は適切との考えを示した。

同社は、ファンド側が事前に書面で趣旨を説明するなどの手続きを行わずに株式を買い増した場合に、取締役会において買収防衛策を発動できるよう、6月の株主総会で承認を求める。その際、シティインデックスイレブンスなど旧村上ファンド系の株主などを除く出席株主の過半数の賛同で承認を求める、いわゆる「マジョリティー・オブ・マイノリティー」(MoM)決議とする方針だ。

異例の決議を選択することについて、山田社長は「旧村上ファンド側を入れて採決すると一般株主の意見が反映されないで、結果が出てしまう恐れがあると判断した。外部の意見を尊重しながら決めた」と説明した。

シティインデックスイレブンスや村上絢氏など旧村上ファンド系はコスモ株の20.01%を保有している。

株式公開買い付け(TOB)規制の対象外となる市場取引で株式を急速に買い集めた場合、既存株主に売り急ぎを強いる、いわゆる「強圧性」の問題が生じる。ただ、どのような場合に「強圧性」が生じるか、MoM決議がどのような場合認められるべきかは有識者でも意見が一致していない。会社側が議決権を行使できる株主を恣意的に選ぶことが可能になるとの懸念もある。

買収防衛策についてのMoM決議は、投資会社アジア開発キャピタルが輪転機最大手の東京機械製作所の株式を買い集めた際に用いられたのに続き2例目。東京機械の場合、アジア開発側が買収防衛策の発動差し止めを求めたが、地裁、高裁は差し止めを認めず、最高裁判所もアジア開発側の抗告を棄却した。

経済産業省が「公正な買収の在り方に関する研究会」でまとめた指針原案には、MoM決議は非常に例外的かつ限定的な場合に限られるとしている点に触れ、村上絢氏は同日、ロイターに対し「追加取得を行うかどうかについては現時点において何ら決定していないことを(コスモに)伝えており、MoM決議を活用することはあってはならない」と述べた。

山田社長は、再生可能エネルギー部門の分離や製油所の統合を含むファンドの提案は株主共同の利益を損なうだろうとの見方を示したが、村上氏は「コスモの経営方針に関するものであり、最終的には株主の多数決で決せられるべき事で、一部の株主の議決権行使を除外して決めるのはおかしい」と批判している。