[東京 26日 ロイター] - 富国生命保険の米山好映社長は26日、ロイターとのインタビューで、日銀の大規模な金融緩和により国債市場の流動性が低下しているなかでは国債は買えないとし、来年度も引き続きヘッジ付外債、株式への投資を検討していると明らかにした。

生保各社は、利回り低下により国債への妙味を見い出せないことから、外債など他の資産への投資を増やしている。

米山社長は「国債市場の流動性がほとんどなくなっており、仮に長期金利が2%を超えていても、そういうものは持つべきでない、危ないというのがわれわれの運用哲学」と述べ、金利水準のみならず、市場の流動性という観点からも国債への投資に対して慎重な姿勢を示した。

日銀は昨年10月、2013年4月に量的・質的金融緩和(QQE)を導入して初の追加緩和に踏み切り、長期国債の年間買い入れ額を50兆円から80兆円(残高増加ベース)に引き上げた。

米山社長は、国債市場の流動性が著しく低下するなかでは金利が一方向に振れやすくなる可能性について懸念を示し、「われわれにとっての最大のストレスは超低金利だが、市場のショックにより金利が急上昇したときが最大のリスクと考えている」と述べた。

米山社長は「運用にとっては非常に厳しい状況が今後も続いていく」とし、今年度に続き、来年度もヘッジ付き外債や株式に投資していく方針。富国生命は2014年度、6年ぶりに国内株式を積み増している。

同社の運用資産のうち、12月末現在の国内公社債の簿価残高は3月末と比べ約130億円減少の2兆7840億円。一方、国内株式は約83億円増の3210億円、外国証券が810億円増の1兆2670億円となった。

金利低下の逆風が吹く中、足元の業績は好調だ。富国生命の2014年度上半期の基礎利益は前年同期比8.6%増の450億円となった。外国証券の利息配当収入が増加したのが主因だ。米山社長は、リーマンショック時のドルが80円近辺のときに購入した外債の利息が円安で増えており、またそれらの債券の償還までかなりの時間があるため、来年度も今年度並みの運用利回りは確保できるとしている。

ただ、新規の投資については、「当面は身をかがめてやっていく」と発言。無理に利回りの低い資産を積み上げることはせず、貯蓄性の商品を中心に販売を抑制していく考えを示した。

(和田崇彦 浦中大我)