ソフトバンクG、広がる米格付会社との摩擦-S&Pが格下げ
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ファイナンス理論を地で行く、資本コスト(WACC)がもっとも低くなるような資本構成を真顔で実現していたソフトバンクGは、もともと日本では”天然記念物”的な会社です。
WACCが最低になる(企業価値が最大化する)資本構成をまじめに追求すると、社債の格付けはざっくりBBB(投資適格級として最低格付け)になります。つまり、投資適格と投資不適格すれすれの際どいライン。
だけど、ソフトバンクG以外のほぼすべての企業は低い資本コストを捨てて、A格付けの資本構成を目指します。
なぜかと言えば、AもBBBも同じ投資適格の格付けですが、この両者には断絶が存在していて、Aと違ってBBBになると途端に日本国内での社債発行が難しくなり、現に流通している社債がAにくらべて極端に少なくなっています。
というわけで、BBのソフトバンクGは日本国内では機関投資家から社債で調達することはできません。どうしても必要なときは個人投資家から構成される”孫正義ファンクラブ”。もうひとつは低格付け社債への投資が好きな海外。もっとも、こちらは金利がべらぼうに高いのは言うまでもありません。余談ですが、破綻したシリコンバレーバンクのS&Pの格付けは今年3月10日までBBB。SVB Financial Groupに対してはBBBー。証券市場は時に行き過ぎたり暴走しますが、こと破綻については証券市場の集合知はスピード・精度の点で格付け機関よりも参考になるのかなあ。
SBGについては新規発行債券の利回り、株価が多くを語っています。①「格付」はあくまで負債(借金)返済能力=信用力を示すものであり、企業の成長力でも資本調達能力でもない。
② 格付は、自社の財務基盤だけでなく、自社がコントロールできない外部環境(事業環境、業界リスク等々)も見て判断される。SBGがプレス(https://group.softbank/news/press/20230523)している内容は自社の財務基盤のみに言及しており、反論になっていない。また格付は遅効性があることは留意すべき。
③ ①に絡み、一般的に格付の向上と企業の成長戦略(リスクテイク)は相反する。従って、株主にとって高格付が良いかと言えば決してそうでもない。ROEを高めようとするならば、適度な信用力(適度な格付)でレバレッジ(借金)をかけ、少ない資本で大きな利益を上げることが求められる。バランスが大事。
④ 格付会社はグローバル(S&Pなど)と国内(R&Iなど)がある。グローバル企業ならばMoody'sやS&Pなどグローバル格付を見た方が、世界の競合との比較がしやすい。一般的にR&Iよりグローバル格付の方が「記号」的に劣後する(厳しい)。
尚、PROがBBBだと国内起債が難しくなるとコメントされているが、BBBあれば国内起債は十分に可能。(市場に流通している格付A社債と格付BBB社債の量が、起債の難易度とどう関係があるのかよく理解できない)
そんな事より、OK1さんのコメント調(口調)が以前に比べてまろやか?になっていることの方が気になります。(SBGの信用リスクは今に始まった事ではないので)