(ブルームバーグ): 米国のエマニュエル駐日大使は19日、半導体大手マイクロン・テクノロジーが次世代メモリーチップを広島工場で製造するため、日本政府から資金面で支援を受ける方向になっていることに関して、中国による「威圧」に対処する上で先例になると述べた。

主要7カ国(G7)首脳会議の開催地、広島を訪れているエマニュエル大使はブルームバーグテレビジョンに対し、マイクロンの合意は「中国による威圧に対処するとともに、われわれのサプライチェーン確保に役立ち、中国からの威圧の標的となっている企業を支援する上で米国と日本が足並みをそろえて行動することを示す」と指摘した。

ブルームバーグはマイクロンが日本政府から2000億円の支援を受け、同社広島工場で次世代DRAMの生産を目指すと、事情に詳しい関係者の話として報じていた。

マイクロン広島工場に2000億円政府支援、次世代DRAM-関係者

19日開幕したG7広島サミットでは、中国が講じる経済措置への対抗策も話し合われる見通し。一方、中国は威圧との主張に反論しており、18日に公表した米国の「威圧外交」に関する独自の報告では諸外国をいじめ、貿易戦争を始めているとして米国を批判した。

エマニュエル大使はインタビューで、中国が国家ではなく企業を脅かそうとしている例として、マイクロンや米コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニー、米信用調査会社ミンツ・グループに対する当局の調査を挙げた。

中国当局、米マイクロンの製品を調査-サイバーリスク念頭に

同大使は中国について、「半導体など戦略的資産を確保するという点から西側の世界を切り崩そうと試みるだけでなく、政治的な変化を迫るために何かを実行しようともし、企業を威圧するという非常に特異なメッセージを送っている」と語った。

エマニュエル大使は中国の行動への対応策を巡る討議がG7声明に色濃く反映されるとの見方を示し、日本とマイクロンの取り組みは各国がどのように対抗することができるかを示す一例だとした。

「オーストラリアや日本、韓国、フィリピンなど、われわれは中国と向き合う上で全般的に成功してきたが、それは個別対応だった」とし、「一体的な対処に向けた協力、協調した戦略が必要だ」と述べた。

原題:Micron-Japan Deal Counters China ‘Coercion,’ Rahm Emanuel Says(抜粋)

(エマニュエル大使の発言を追加し更新します)

More stories like this are available on bloomberg.com

©2023 Bloomberg L.P.