[東京 15日 ロイター] -   東京株式市場で楽天グループ<4755.T>の株価が後場に急落し、前営業日比9.05%安で取引を終えた。公募増資に向けて最終調整していることが分かったとロイターが報じ、手掛かりになった。株価は一時11.5%安に下落した。公募増資による財務基盤の強化よりも、1株利益の希薄化懸念が意識された。

公募増資は3000億円規模を想定しているが、今後の株価次第で変動する可能性がある。携帯電話事業の投資負担で最終赤字が続く中、財務基盤の立て直しを急ぐ。週内にも取締役会を開き決議する。公募増資に加え、第三者割当増資で三木谷浩史会長の資産管理会社なども資金を出す。

市場では「報道ベースではあるが、現状の時価総額や希薄化を考慮すると、株価はもう一段下落してもおかしくない」(松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリスト)との見方が出ている。

同社株は、KDDIとの提携拡大で見込む設備投資費用の削減効果などを好感し、15日には一時5.9%高となり年初来高値を更新していたが一転、「需給悪化の思惑から、下値模索になりそうだ」(窪田氏)という。

楽天Gは、調達する資金を携帯電話の基地局整備や社債の償還資金に充てる。4月の楽天銀行上場で700億円超の利益を計上するほか、保有していた西友株を220億円で売却するとこれまでに発表しているが、基地局建設に充てるために発行した社債や劣後債残高は9000億円規模に上り、24年だけで3000億円程度の社債償還を迎える。