3つの「世界同時多発『ヤバい』」が起きている
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長く続いた財政赤字と異常なレベルの金融緩和が『灰色のサイ』、つまり将来大きな問題を引き起こす可能性が高いのに現時点で軽視されがちな潜在的リスクを我が国で育てたことは確かです。たとえば
①1000兆円に上る政府の借金
②国債だけで600兆円を超える日銀保有のリスク資産
③低金利を利して膨らんだ家計の変動金利ローンや脆弱な企業を救う短期転がしの運転資金
④余剰な預金の活用に困って長期国債等に資金を振り向けた地銀等の存在。
政策金利と長期金利が欧米並みに上がったら、税収60兆円台で既に大赤字の政府の利払いがやがて年間30兆円膨らんで『インフレ税』でご破算にでもしない限り財政が混乱するのは必至です。さもなければMMTがインフレ解決手段として主張した大幅な増税が待っている。日銀が保有する国債の残存期間はどんどん伸びて9年に達していますから、デュレーションがどの程度かは分かりませんが金利が3%上がれば120兆円くらい損が出ても不思議でないように思います。資本金1億円、内部留保5兆円の日銀が自ら解決できる規模ではないでしょう。低金利を前提にローンや借り入れを組んだ家計と企業も大変ですし、地銀等の一部が破綻したSVBと同じ構図に陥るだろうことも想像に難くありません。
日銀が主張する通り今年度のインフレ率が1.8%に収まって来年度は2%、再来年は1.6%に収まれば良いですが、物価高への不満で賃金があがって生産コストがあがり、賃金と物価の共振が起きたら日本のインフレ率が高止まりしないとは限りません。そうしたら日銀が欧米並みの引き締めを迫られて、サイが暴れ出すことになるでしょう。
金利の上昇に耐えられない構図が我が国には出来ていますから、植田新総裁が金利上昇に繋がる政策変更を拙速にしようとしないのは当然です。かといって、いまの政策をそのまま続ければ、サイは更に大きく育ちます。生産性が上がらない中でインフレに押されて上がる賃金の上昇率がインフレ率を下回り、中長期的に実質賃金が下がる結果を招くことは必至です。足元でインフレ率が若干下がったように見えますが、これは政府がガソリン、電気、ガス等に補助金を出して抑えたからで、インフレ基調は続いています。サイが暴れ出す前に日本の本質的な成長力を高めて宥めることができるのか。日銀のみならず政府の姿勢も問われるように感じる昨今です。(・・;