2023/5/2

【世界初】中国が「AIに地球を監視」させてみた

NewsPicksでは週7日毎日、世界のトレンドの背景を追うシリーズを開始しています。火曜日は「Behind the Scene(ニュースの裏側)」です。
INDEX
  • 大阪も「自動監視」対象に
  • 「衛星のムダ遣い」を解決
  • 不審な活動を即座に「通報」
  • 「衝突事故」の回避に期待
  • AIは「観測対象」をどう決めるか

大阪も「自動監視」対象に

AIの活用がさまざまな分野に広がるなか、中国が新たな試みに挑んでいる。
武漢大学の研究チームは、人工知能(AI)が宇宙でどのように動作するのかを確認する画期的な実験を行い、地球近傍軌道を通過する衛星の制御を一時的にAIに任せたと発表した。
武漢大学学報(信息科学版)に発表された論文によれば、小型地球観測衛星「啓明星1号」は24時間にわたって地上のAIが制御し、人間が介入することは一切なかった
武漢大学測絵遥感信息工程国家重点実験室の王密が率いる研究チームは、実験の目的について、判断を任せた場合にAIが衛星をどのように制御するのかを検証することだったと説明した。
研究チームによれば、AIは地球上のいくつかの場所を選び、啓明星1号に詳しく調べるよう命じた。AIがそれらの場所を選んだ理由について、説明はなかった。
AIに選ばれた「観測スポット」のひとつは、インド北東部のガンジス川沿いにある古都パトナだった。ここは、2020年に国境周辺のガルワン地域で中国軍と衝突したインド軍ビハール連隊の本拠地でもある。
日本で最も活気がある港湾都市の一つである大阪も、AIが関心を寄せた場所の上位に入った。大阪には、太平洋に展開している米海軍の艦船が寄港することもある。
大阪港の空撮写真(Taro Hama@ e-kamakura/Getty Images)