日銀、長期緩和の検証実施へ 先行き指針も見直し検討
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長く続いた異次元の緩和で我が国の経済の根底には大きな歪が溜まっています。日銀が無限に国債を買って金利を抑えてくれることに依存しきって1000兆円にまで膨らんだ政府の借金、GDPの1.1倍、発行済み長期国債の53%に当たる600兆円超の低利国債を抱え込んだ日銀のバランスシート、カネ余りで高騰したマンションを低利であるがゆえ変動金利で買い込んだ家計など、金利が上昇したら暴れ出しかねない灰色のサイは枚挙に暇がありません。
そういう意味で我が国の金融政策は、急に見直せば歪が直ちに問題化し、このまま続ければ出口で起きる混乱が大きくなり続ける二律背反の状況に置かれています。「①異次元緩和の継続②マネタリーベースの拡大方針」を急に見直したら大変なことになりますが「③新型コロナの影響注視、追加緩和の可能性」はそれと較べればさしたることではありません。そうしたところで変化を演出しつつ「過去の金融緩和策を総合的に評価」を進め、異次元緩和の出口に向けて政策修正の土台をじっくり固めて行くのは穏当な方策であるように思います。
足元のコアインフレ率が3%を大きく超える以上、23年度のインフレ率を上方修正しないわけには行きません。その一方、インフレは一時的で日本は2%のインフレ率に達していないと主張し続けることも日銀にとって必須です。そうしておかないと、物価高に苦しむ国民が不満を募らせて、金融政策の修正を求められることになりかねませんから。「今回新たに示す25年度分も1%台後半とする見通し」というのも、そういう意味で頷ける話です (^^;もはや日銀の金融政策は、軟着陸ができないレベルにまで達してしまっている気がします。他の中央銀行とは比較にならない規模で債権、そして株式まで購入してしまっており、正常化は容易ではありません。
残念ながら、日本は今後ダイナミックな変動(災害や外圧を契機とする社会の混乱)を経てすべてをリセット(政府の抱える巨額な債務や硬直する官僚機構・政治指導体制、日銀の莫大な当座預金や非伝統的な緩和手法)するしかないのではないでしょうか。