[25日 ロイター] - 米労働省が25日公表した「職業別雇用・賃金統計年次報告書」によると、新型コロナウイルスのパンデミック前から就業人口が増えていた経営管理や金融、運輸といった職種は、パンデミック以降に就業人口増加が加速したことが分かった。

一方、パンデミック前に人手確保に苦労していた職種は、パンデミックに伴う労働市場の混乱を経て同じ状況が続くか、事態が悪化している。

報告書に基づくと、就業人口に占める職業転換者の比率は2016―2019年の方が2019―2022年よりも大きく、パンデミックは職業構造の固定化をさらに促したと言えそうだ。

実際、主要な職業のうち16―19年で就業人口に占める比率が横ばいか増加した職種で、19―22年にその比率が逆に低下したのはごくわずか。半面、パンデミック前にこの比率が最も下がっていた、事務管理支援やセールス、パーソナルケア関連サービスはいずれも19-22年でさらに比率が低下した。

報告書からは、インフレ抑制を目指す米連邦準備理事会(FRB)にとって次第に懸念要素になっていった賃金の大幅な上昇ぶりもうかがえる。

19年5月から22年5月までの間に、全ての職種の平均時給は15.7%上がり、上昇率は16年5月から19年5月のほぼ2倍となった。特に賃上げ率が大きかったのは、パンデミック前に最も賃金水準が低いグループに属していた食品サービスやヘルスケア支援といった職業だった。反対に経営管理職の賃金上昇率は、16―19年が8.6%だったが19―22年は2.6%にとどまった。

足元で高卒以上の学歴なしに働ける職業の比率は21.9%で、19年の24%を下回った。