[東京 21日 ロイター] - T&Dホールディングス傘下の大同生命保険は、2023年度の一般勘定資産運用計画で、超長期債を中心に国内債券を増加させる見通しを示した。経済価値ベースでの収益安定化に向けて、引き続き、資産デュレーションを長期化し金利リスクの削減を進める。想定以上に金利が上昇する場合は、追加購入も検討する。   

同社の佐藤孝明運用企画部長はロイターなどに対し、「金利動向などに過度に左右されることなく、超長期債の購入を計画的に進める」と述べた。日銀によるイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の見直しによる金利上昇のリスクはあるが、海外での利上げ停止などの影響を見込んでおり、緩やかな上昇にとどまると想定している。   

22年度の国内債券は2100億円の増加で、今年度も同程度の増加を見込む。さらに「国内金利が想定以上に上昇した場合、保険負債の状況なども踏まえつつ、超長期国債を中心に購入増額も検討する」という。超長期債は「上限で(利回り)2%弱ぐらいがメインシナリオ」だとし、その水準を大きく上回る場合に検討するという。   

佐藤氏は、日銀が年度前半にはYCCの修正や撤廃といった見直しに動くと想定している。ただ、持続的・安定的な物価上昇の早期の達成は想定し難いとみており「マイナス金利政策などの緩和的な金融政策は維持するのではないか」と予想している。    

一方、米国での先行きの利下げ期待によって米金利は低下基調をたどると見込んでおり、米10年金利は2.3―4.0%のレンジを予想。外国債券への投資は減少を見込む。「昨年度ほどの減少にはならないものの、圧縮は進める」という。   

22年度の外債は、元受契約のリスクの一部を再保険会社に移転することに伴う売却で残高を6300億円と大きく削減した。   

為替の円高リスクやヘッジコストの高止まりなどを想定しており「外国債券の投資妙味は当面は低い環境が続くとみている」という。ドル/円の予想レンジは120―142円としている。    米国の金融政策は、インフレ鈍化を確認の上、景気減速懸念に配慮して4―6月期中に利上げを停止すると予想。しばらく据え置いた後、24年1―3月期には利下げを開始すると想定しているという。   

株式への投資は、国内外とも横ばいから増加を見込む。前年度は内外とも750億円ずつ残高が減少した。   

海外景気の減速などによる株価調整局面を想定しているが、その後は年度末に向けて緩やかな株高に転じると見込む。ただ、残高を積み増す場合でも「景気動向や株価水準などを考慮しながら慎重に対応する」とした。   

海外のプロジェクトファイナンスを中心に残高を積み上げ、貸付は増える見込み。オルタナティブも増加を見込む。中長期的な収益拡大に向けて、リスク分散と収益獲得機会の拡大などの観点から投資を継続する。インフレ耐性があり、収益安定性も期待できるとして、インフラファンドなどを中心に残高を積み上げる考えだという。

◎23年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り 0.30―0.90%(年度末0.55%)

米10年債利回り    2.30─4.00%(同2.80%)

日経平均        2万4000円─3万1500円(同2万9000円)

米ダウ         3万0000ドル─3万8000ドル(同3万5000ドル)

ドル/円        120―142円(同126円)

ユーロ/円       130―155円(同138円)