(ブルームバーグ): バイデン米大統領は、中国経済の重要な部門に対する米企業の投資を制限する大統領令に、数週間以内に署名することを目指している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

バイデン政権はこの措置をおよそ2年にわたり協議してきた。5月19日に日本で始まる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の前に行動を取る計画で、他のG7メンバーには投資抑制措置について報告済みだと、関係者は述べた。同会議で支持を取り付けたい考えだが、他国も同様の制限を同時に発表することは見込んでいないという。

米国は対中経済措置を数年がかりで相次ぎ打ち出してきたが、この大統領令で新たな局面に入る。トランプ前大統領時代には中国からの輸入品に関税を課し、最近では米国の主要技術の輸出に制限をかけようと試みた。今回の焦点は、米中間の資本フローだ。

イエレン財務長官が20日の講演で強調したように、米国は中国の発展を抑え込む取り組みではなく、安全保障上の理由で抑制措置を課す方針だと主張している。ロシアによるウクライナ侵攻以来、米中は実質的にそれぞれ敵対する側に付き、緊張はさらにエスカレートした。新たな冷戦が始まり、競合するブロックに世界経済が分断される懸念が強まっている。

AIや量子コンピューティング

バイデン氏の大統領令は半導体や人工知能(AI)、量子コンピューティングなど、米国企業が主導的な役割を果たす分野の投資に的を絞る。ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティー(PE、未公開株)、特定の技術移転や合弁企業も対象に含まれる。

一部の投資形態は全面的に禁止される一方、政府に通知を義務づける形態もあるという。詳細は大統領令に続く一連の規則で示される見通しで、施行前には企業が意見を表明する時間が設けられる。

複数の米当局者は、中国の軍事力増進に寄与し得る重要な資金やノウハウを断つことが投資を抑制する意図だと説明している。

イエレン長官は20日、ワシントンで行った講演で米中の経済関係に触れ、対中投資の抑制は「国家安全保障に重要な影響を及ぼす特定の慎重に扱うべき技術」が対象になると述べた。

「このような安全保障上の行動は米国が競争上の利点を得るとか、中国の経済的・技術的な近代化を阻止するといった意図ではない」と説明。その上で、中国を巡る安全保障上の懸念は「それが米国の経済的な利益とのトレードオフを強いるとしても、同盟国やパートナー国と協調して対処していく」と述べた。

松野博一官房長官は21日午前の記者会見で、米国の動きに関する報道は承知しているとした上で、「サミットに向けG7メンバーとは緊密に意思疎通しているが、外交上のやり取りであり、その詳細について答えることは差し控える」と述べた。サミットでは「法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとのG7の強い意志を力強く世界に示したい」と述べた。

原題:Biden to Unveil China Investment Curbs Before G7 Summit in May(抜粋)

--取材協力:Alberto Nardelli、萩原ゆき.

(松野官房長官の発言を追加し、更新しました)

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