[ワシントン 30日 ロイター] - バイデン政権は30日、中堅銀行に対する規制強化策を金融規制当局に提示し、議会の承認を得ずに実行可能だと説明した。

資産規模で1000億─2500億ドルの中堅銀行について、流動資産の一段の確保や資本金の増額、定期的なストレステスト実施のほか、破綻した場合の整理方法を詳述した清算計画(リビング・ウィル)の準備を提案した。

ホワイトハウス高官は「これらは全て現行法の下で実行可能な措置であり、議会の承認を得る必要はない」と述べた。

米では、シリコンバレー銀行(SVB)など中堅銀行の破綻を受け、2018年のトランプ前政権下で実現した金融規制改革法(ドッド・フランク法)の改正が批判の的になっている。この改正では、より厳しい監視の対象となる金融機関の条件が総資産500億ドル以上から2500億ドル以上に緩和された。SVBの昨年末の資産規模は2090億ドルだった。

米連邦準備理事会(FRB)や他の銀行規制当局は、特に資産1000億─2500億ドルの金融機関に対する規制強化をすでに検討していることを示唆している。

バイデン政権の規制強化案に対し、銀行業界からはコスト高につながるとして即座に批判の声が上がった。

一方、エリザベス・ウォーレン上院議員は規制強化案を支持。銀行経営陣はトランプ氏による法改正以降、利益を増やすためにリスクを拡大させてきたと批判した。

ウォーレン氏ら複数の民主党議員は、トランプ政権時代の法改正を完全に撤回するよう求めている。ただ、共和党が下院を支配するねじれ議会で実現の可能性は低いとアナリストらはみている。