[東京 29日 ロイター] - 日銀の内田真一副総裁は29日の衆議院財務金融委員会で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の今後の展開について、日本経済や物価安定のために必要なら「あらゆる選択肢を排除しない」と語った。

階猛委員(立憲民主党・無所属)の質問に答えた。内田副総裁が国会で答弁するのは20日の就任後、初めて。

内田副総裁は「2%(目標)に近づいていく過程では、さまざまなことが考えられる」と指摘。いま行われていないことも含めて考えていくのがわれわれの役割だと述べた。

市場とのコミュニケーションについては、金融市場に政策意図を正確に伝えることは重要だが、毎回の金融政策決定会合の前に会合内容を先取りするような情報発信は「通常やらないし、やるべきでもない」と述べた。

YCCについて、階委員が長期金利の変動幅の再拡大や誘導目標の短期化など漸進的に修正していくのが適切か、投機的な動きを封じるためにYCCを一気に撤廃するのが適切か問いただしたが「事前にこういう政策をすべきだ、こう考えられるべきだと今の時点で申し上げるのは不適当だ」と述べ、明言しなかった。

内田副総裁は、イールドカーブ全体が1.5%ポイント上昇した場合、日銀保有国債の評価損は約50兆円程度になるとの試算も示した。

(和田崇彦)