[28日 ロイター] - 中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングは28日、事業を電子商取引、メディア、クラウドなど6つに分割する方針を明らかにした。それぞれが資金調達や新規株式公開(IPO)を検討する。

アリババの米国上場株は寄り付き前の時間外取引で一時8%上昇した。アリババ株は、2020年末に当局が統制を強化し始めてから約70%下落している。

6部門はクラウド・インテリジェンス・グループ、タオバオ・天猫コマース・グループ、ローカル・サービス・グループ、ツァイニャオ・スマート・ロジスティクス・グループ、グローバル・デジタル・コマース・グループ、デジタル・メディア・アンド・エンターテインメント・グループ。

各部門に最高経営責任者(CEO)と取締役会を置き、外部資本を調達したり、新規株式公開を目指したりする柔軟性が維持される。ただ、タオバオ・天猫コマース・グループはアリババ・グループの完全所有部門として存続する。

アリババ・グループは持ち株会社の経営モデルを採用する。グループ会長兼CEOは引き続き張勇(ダニエル・チャン)氏が務める。チャン氏はクラウド・インテリジェンス・グループのCEOを兼務する。

ロイターが入手した従業員宛ての書簡で張氏は「今回の改革の本質的な意図と基本的な目的は、組織を一段と機敏にし、意思決定を迅速化し、素早く対応できるようにすることだ」とし、各事業グループは市場の急速な変化に積極的に取り組む必要があり、アリババの従業員は各自が「起業家の発想」を持たなければならないと述べた。

このほか、ミドルオフィスとバックオフィスの機能を「軽量、薄型化」するとも表明。ただ、人員削減の詳細は明らかにしなかった。

アリババの今回の発表は、同社の24年の歴史の中で最大の組織再編。1年以上にわたって海外に滞在していた創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が中国に帰国した翌日に発表された。

証券会社エクイティ・キャピタルのマクロエコノミスト、ステュアート・コール氏は「馬氏の帰国のタイミングに合わせこうした再編が発表されるのは、偶然の一致のように見える。アリババは以前からこうした再編を実施したいと考え、その機会を待っていたように見える」と指摘。今回発表された再編で「巨大な存在であるアリババは、柔軟性と適応性を得ることになる」と述べた。