[ワシントン 24日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は24日、規制当局の「強力かつ迅速」な対応によって銀行セクターを巡るストレスが和らぐ中、予想以上に強い経済とインフレ動向を踏まえ、連邦準備理事会(FRB)は金利を想定以上に引き上げる必要がある公算が大きいという見解を示した。

ブラード総裁は「迅速かつ適切」な方法で緊急措置が取られたと指摘。「適切なマクロプルーデンス政策の継続によって金融ストレスを抑制し、適切な金融政策によって引き続きインフレに下方圧力をかけることが可能となる」と述べた。

経済が好調を維持し、金融セクターのストレスは緩和される見通しであることから、インフレ抑制に向けて予想以上の高金利が必要になる可能性が高いと指摘。「強い経済指標が得られ、金融ストレスが数週間─数カ月で緩和するという前提で」今年のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は5.5─5.75%の範囲に上昇する必要があるとの見解を示した。これは12月時点の予想より0.25%ポイント高い水準となる。

利上げの戦略と時期を決定するのはパウエル議長次第としたほか、銀行セクターを巡るストレスが悪化し、金融政策の再考を迫られるという「下振れシナリオもあり得る」とした。

ただ、金融ストレスが解消される確率は80%とし、晩春か夏までには、FRBの焦点はインフレを2%の目標に回帰させるための利上げの必要性に戻るという見通しを示した。

米シリコンバレー銀行の破綻については「非常に異例なケース」とし、米国にはインフレ低下と金融安定の維持双方に取り組む「ツール」があり、「われわれはそうしたツールを効果的に展開しており、成功するだろう」と強調した。

また、米経済成長と雇用市場は引き続きアウトパフォームしており、インフレは低下しているものの、「依然高すぎる」という認識を示した。

特に雇用市場については、米企業は依然として厳しい労働市場に直面しており、「労働者の確保に腐心している」と指摘。対応は可能だが、その状況がすぐに解決することはないとの見通しを示した。