2023/3/26

【最前線】この世界の真の姿は2次元の「面」かもしれない

松下 安武

フリー 科学記者・編集者

私たちが普段見ている３次元的な広がりを持った「空間」は幻であり、この世界の真の姿は２次元の「面」かもしれない──。

そんな突拍子もない考え方が今、物理学の最前線で大真面目に議論されているのをご存じだろうか。

このような世界像は「ホログラフィー原理（またはホログラフィック原理）」と呼ばれている。ホログラフィー原理は、ブラックホールという摩訶不思議な天体の理論的な研究を通して生まれた仮説だ。

「空間は幻かもしれない」というのはどういう意味なのだろうか。

なぜそのような考え方が生まれてきたのだろう。

理論物理学者の橋本幸士・京都大学教授に話を伺った。

INDEX

• 3Dゲームと似ている
• 奇妙な天体ブラックホール
• ブラックホールはホログラム？
• 現実世界の物質の研究に応用

コメント

注目のコメント

• 須田 桃子

  NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト

  ・2023年03月26日

  「ホログラフィー原理」という言葉を耳にしたことはありますか？　ホログラムが平面なのに立体的に見えるのと同じように、2次元の世界で起こる現象を説明する理論が、3次元の世界を説明する理論と同じ（等価）であるという仮説です。
  
  最前線の物理学者たちが議論しているというこのホットなテーマについて、どんな仮説なのか、何ゆえホットなのかを、京都大学の橋本幸士教授に伺いました。取材に同席しましたが、知的興奮を喚起される密度の濃い時間でした。
  
  週末のひととき、難解だけれど魅惑的な物理学の世界にぜひ浸ってみてください。
• 松下 安武

  フリー 科学記者・編集者

  ・2023年03月26日

  取材・執筆しました。
  
  空間は幻かもしれない──にわかには信じがたいと思いますが、これは物理学の最前線で実際に議論されている話です。
  
  しかもホーキング、サスキンドといった物理学の巨人たちによる、激しい議論を土台にして生まれてきた考え方なのです。
  
  本記事のテーマである「ホログラフィー原理」は、現代の物理学において最もホットで、最も刺激的で、最も発展性を秘めた概念と言っても過言ではありません。
  
  20世紀初頭に誕生した相対性理論、そして量子力学は人類の世界観を変え、様々なテクノロジーを生み、私達の生活を変えました。ホログラフィー原理は、それらに匹敵する革命を起こす可能性を秘めているのです。
  
  ぜひご一読ください!
• 佐藤 元則

  NCB Lab. 代表

  ・2023年03月26日

  二次元の平面は、三次元の立体に比べてシンプル。計算式も複雑にならない。すべてが二次元で解明できるとすれば画期的だ。