[東京 14日 ロイター] - 日銀・金融機構局は14日、米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻について「日本の金融機関の直接的なエクスポージャーは僅少と考えられ、現時点で日本の金融システムに与える影響は限定的とみている」とコメントした。日本の金融機関は全体として十分な自己資本を有しているが、シリコンバレー銀の破たんの影響も含め、金利動向や金融機関の有価証券投資の状況を丁寧にモニタリングしていくと述べた。

2023年度の金融機関に対する考査方針の記者向け説明で、SVB破たんの影響に言及した。SVBについては、粘着性の低い法人預金の比率が高かったり、リスクの高いスタートアップ企業への融資が多いなど「やや特殊性が強かった」と指摘した。

23年度の考査方針では、金融機関の有価証券運用を重点的に見ていくことを改めて盛り込んだ。

内外イールドカーブの変化やボラティリティの上昇等に伴う有価証券評価損やリスク量の拡大などを、収益力のシミュレーションなどを活用しながら検証する。その上で、先行きの収益力や経営体力に懸念が認められる金融機関との間では、将来にわたり安定的に金融仲介機能を発揮していくための自己資本水準や、これを確保するための経営方針、有価証券評価損益の状況も踏まえた配当などの資本政策のあり方について、経営陣との対話を重点的に行うとした。

22年度は米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げで米金利が急上昇し、日本の銀行の保有外債の評価損が拡大。さらに昨年12月に日銀が長期金利の変動幅を拡大すると、今度は保有国債の評価損が膨れ上がった。

日銀は、外債価格が下落する中、損失限度額抵触時の対応が不十分で評価損が大幅に拡大した地域金融機関があったと指摘。ダウンサイドシナリオの分析を含むリスク許容度の検証や市場急変時の対応方針の策定など、リスク管理の実効性の面で多くの金融機関に課題が見られたため、市場急変時の対応の実効性を検証していく。

(和田崇彦 編集:宮崎亜巳)