[9日 ロイター] - 9日の米国株式市場で、米金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループの株価が62%超急落した。バランスシートを補強し、資金繰りに苦しむ新興企業からの預金減少を乗り切るため、前日に17億5000万ドルの株式売却を発表したことを受けた。

株価は過去25年間で最大の下げとなった。SVBはベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達が引き続き当面制限される可能性があるとしたほか、最高経営責任者(CEO)のグレッグ・ベッカー氏は顧客のキャッシュバーン(現金燃焼)が2月に増加したと述べた。

新興企業にとって重要な金融機関であるSVBは、2022年に株式市場に上場した。VCの支援を受けているテクノロジー、ヘルスケア分野の米新興企業のほぼ半分と提携している。

ベッカー氏は投資家向けの書簡で「VCの展開はわれわれの予想通りだが、高止まりしていた顧客のキャッシュバーンが2月に一段と増加し、預金が予想より減少した」とした。

金融セクターに対する投資家の警戒感が強まり、主要銀行も下落した。

ウェルズ・ファーゴは6%、JPモルガン・チェースは5.4%、バンク・オブ・アメリカは6%、シティは4%、それぞれ下落した。

S&P500銀行指数を構成する18行の時価総額は800億ドル以上減少した。

一方、ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、デービッド・チアベリーニ氏は、SVBは有価証券の売却と増資で多額の資金を確保したとし、同社が「流動性危機に陥っているとは考えていない」と指摘した。