[オタワ 8日 ロイター] - カナダ銀行(BOC、中央銀行)は8日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を予想通り4.5%に据え置いた。物価上昇圧力が想定通り緩和していることを受けた。現在の局面での利上げサイクル停止は、主要中央銀行としては初めて。

声明で「最新のデータは引き続き、消費者物価指数(CPI)が年央に3%近辺に低下するという中銀の予想に沿った内容となっている」とし、「引き続き経済情勢と過去の利上げの影響を精査し、インフレを2%の目標に回帰させるために必要であれば、金利をさらに引き上げる用意がある」とした。

声明発表後、カナダドルは対米ドルで0.3%安の1.3794カナダドルと4カ月ぶりの安値を付けた。

BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「今後数カ月間のデータで大きなサプライズがない限り、金利据え置きが続きそうなのは確かだ。年内の金利据え置きを予想している」と述べた。

ロイターが先週実施した調査では、32人のエコノミストの全てが金利据え置きを予想し、大半が金利は年末まで据え置かれる公算が大きいという見方を示していた。

中銀の政策発表前に金融市場は9月までの追加引き締めを完全に織り込んでいたが、政策決定を受けて9月利上げの可能性は90%に低下した。

スコシア銀行の資本市場経済担当バイスプレジデント、デレク・ホルト氏は「中銀引き締めはまだ終わっていないという方向にリスクは傾いており、経済指標次第で再び引き締めに転じる可能性がある」と述べた。

カナダ中銀はインフレ抑制に向け、過去1年で計425ベーシスポイント(bp)という記録的なペースで利上げを実施していた。

中銀はまた、2022年第4・四半期の成長率が予想を下回ったことを踏まえ、声明から「需要超過」という文言を削除。「制約的な金融政策が引き続き家計支出に重くのしかかっている」とし、「今後数四半期は低調な経済成長が見込まれ、製品や労働市場における圧力は緩和する見通し」とした。

同時に、インフレを目標に回帰させるためにはコアインフレと短期インフレ期待がさらに低下する必要があるという認識を示した。23年の第1─第3・四半期はゼロに近い成長が見込まれるという。

8日の会合後の会見は予定されていない。