2023/2/25

【カラテカ入江】吉本契約解除から4年、「信用」を失った男の自省録

NewsPicks編集部
世間を騒がせた「闇営業」騒動から、はや4年。
多くの人気芸人たちが自粛をしいられるなか、一人だけ「解雇処分」を受けたのがカラテカの入江慎也氏だった。
入江氏は現在、自身が立ち上げた清掃会社・ピカピカを経営している。芸人から経営者になるまでの道のりは険しく、かつては「掃除機ひとつちゃんとかけられない」時期もあったそうだ。
発売から1ヵ月経たずして大きな話題を呼んでいる自省録『信用』(新潮社)には、そんな苦労と反省の4年間がつづられている。
騒動から現在に至るまでに、入江氏はどのような時間を過ごしてきたのか。芸人時代の教訓は、経営者となった現在にどう影響しているのだろうか。
“ともだち5000人芸人”として一世を風靡した入江氏に、メディアで語られてこなかった孤独の1,000日間、そして、書籍のタイトルにもなった「信用」とは何かを語ってもらおう。
INDEX
  • 人脈芸人、外出が怖くなる
  • 無能を痛感、42歳のアルバイト
  • 過剰な自意識は、もういらない
  • 清掃業界を「行きたい場所」に

人脈芸人、外出が怖くなる

──騒動の直後、現在のように会社経営をしている姿は想像できていたのでしょうか。
入江 会社経営はおろか、自宅から出ることもできず、常に恐怖を抱えて毎日を過ごしていました。
「旅行に出かけてリフレッシュしてみたら」「海外でゆっくり過ごしてみたら」と声をかけてくださる方もいましたが、そういう気分にもなれず、ただただ時間が過ぎていくのを待っていた、というのが正直なところです。
事務所を介さない直営業はいくつも実施していたので、「もしかしたらあの会食も……」という恐怖が常にあって。
関わってくれていた後輩やその家族、スタッフなどの関係者の人生を狂わせてしまう可能性を考えたら、自分をケアする余裕なんてありませんでした。
──絶望から立ち上がれたきっかけは?
もちろん「なんとかしないと」という気持ちは常にあったんです。ただ、心と体が付いてきませんでした。
絶望のふちからはい上がるきっかけになったのは、「人生はこれからも続いていく」という友人たちの言葉です。