(ブルームバーグ): 米ミシガン州の大学で起きた発砲事件について、人工知能(AI)技術を用いたチャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」を利用して哀悼のメッセージを作成した別の大学の事務局に対する批判が高まっている。同メッセージには大学コミュニティーの重要性などが記されていた。

テネシー州ナッシュビルにあるバンダービルト大学ピーボディ校のエクイティー・ダイバーシティー・インクルージョン室は16日の電子メールで、「安全で包摂的な環境の構築は継続的な取り組みとコミットメントを必要とする継続的なプロセスだ」と指摘。5段落から成るメールの文末にはチャットGPTから引用したと記されていた。

ミシガン州イーストランシングにあるミシガン州立大学のキャンパスで13日夜、銃撃事件が発生し、3人が死亡、5人が負傷した。容疑者はその後遺体で発見され、自殺したとみられる。ガン・バイオレンス・アーカイブのデータによると、米国では今年73件の銃乱射事件が発生している。

チャットGPTを手掛けるAI研究会社、オープンAIはこのところ、システムの偏向や情報の不正確さ、不適切な応答を巡り批判を浴びている。さまざまな場面で同ツールを利用することによる影響や倫理を巡り激しい論争が巻き起こっている。

新入生のマーサ・チェッセンさんは、大学が銃による暴力に関するメールを作成するためチャットGPTを利用したことに対し特に憤りを感じている。「バンダービルトは、コミュニティーのニーズに対する真摯(しんし)な配慮というよりも、単に義務感からこのメールを送ったように思える。悲劇的な事件に見舞われた人々への共感に欠けていることに失望を感じる」と、チェッセンさんは語った。

同大学はAI技術の利用で誤った判断を行ったことを謝罪した。

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原題:ChatGPT’s Use in School Email After Shooting Angers Coeds (1)(抜粋)

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