(ブルームバーグ): 暗号資産(仮想通貨)交換業者クラーケンが「ステーキング」と呼ばれる仮想通貨関連サービスの提供で米証券法に違反したとされる疑惑を巡り、同社は民事制裁金などで3000万ドル(約39億4700万円)を支払うことに同意し、米証券取引委員会(SEC)と和解した。合意の一環としてこうしたサービスの提供を打ち切る。

SECは9日の発表資料で、クラーケンのステーキングサービスは違法な証券販売に当たると指摘。コインベース・グローバルやバイナンス・ホールディンスなどの交換業者も収入ベースの多角化を図る目的で同様の商品の手掛けているため、今回の和解は業界に多大な影響を与え得る。

ステーキングとは、顧客が保有する暗号資産を一定期間預け入れることで報酬が得られる仕組み。預けられた暗号資産はブロックチェーン上の取引を円滑にするために利用される。SECの訴状によると、クラーケンの同サービスを利用する投資家は、暗号資産を預け入れる見返りとして最大21%のリターンを得ることもあった。

ステークドとクラーケンのリポートによると、世界のステーキングサービスで預けられた資産の価値は2022年末時点で420億ドルと推計されている。

クラーケンの担当者ロビン・バン・ダーレン氏は発表資料で、ステーキングサービスの提供停止は米顧客のみが対象で、米国外の顧客には子会社を通じて提供すると説明した。同社は今回の和解でSECの指摘を認めることも否定することもしていない。

コインマーケットキャップによると、サンフランシスコを拠点とするクラーケンは世界で1日に約6億5000万ドル相当の取引を扱う業界3位の暗号資産交換業者。

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原題:Crypto Exchange Kraken Ends US Staking Program in SEC Deal (1)(抜粋)

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