[キーウ/ブリュッセル 9日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、ブリュッセルで開催された欧州連合(EU)首脳会議に初参加し、一部のEU首脳がロシアによる侵攻に対抗するためにウクライナに航空機を供与する用意があると語ったと明かした。

記者会見で「欧州はウクライナが勝利するまでわれわれと共にある。複数の欧州首脳から航空機を含む必要な兵器や支援を提供する用意があると聞いた」とし、「今、複数の二国間会談を行っている。われわれは戦闘機や他の航空機に関する問題を提起する予定だ」と述べた。

航空機を送る意思を示したEU加盟国について具体的には示さなかったが、「ある種の合意があった。公にはなっていないが、前向きなものだ」とした。

欧州諸国は現時点で航空機供与の意向を確認していない。

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は国内テレビで、現在協議が行われているとした上で「装甲装備に加え、機材(航空機や長距離兵器)をいつ、どこでどのように受け取るかという兵たんについて間もなく分かるだろう」と述べた。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、英国や他の西側諸国がウクライナに戦闘機を供与すれば「緊張が高まり、紛争を長期化させ、ウクライナ国民に一段の苦しみをもたらす」と批判。西側による戦争への間接的関与と直接的関与の境界がなくなりつつあるとも述べた。

ゼレンスキー氏は首脳会議で、ロシアのミサイル製造能力を抑制するため、IT分野を含む対ロシア制裁を強化するようEUに要請した。

EUのミシェル大統領は「われわれは今後数週間から数カ月が決定的に重要であることを理解している。広い視野を持ち続け、最大限の支援を提供し続けなければならない」とし、ゼレンスキー大統領は「大砲、軍需品、防衛システムなど今何が必要なのかをわれわれに正確に伝えた」とした。

EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「われわれはプーチン氏のプロバガンダを(制裁の)標的にする。彼らのうそがロシアと海外の公共空間を害しているからだ」と指摘。新たな制裁は「ロシアの軍事力をさらに欠乏させ、経済の基盤を揺るがす」とした。

ウクライナのEU加盟について、ミシェル大統領は「平和、復興、加盟への道は長く険しい」とした上で、「われわれはその道のりの一歩一歩を共に歩んでいく」と言明。ウクライナの加盟プロセスに関する最新情報を年内に発表するとしたが、その内容は明らかにしなかった。

また、フォンデアライエン委員長はウクライナのEU加盟について「欧州委はウクライナ政府と非常に緊密に協力している。厳格なスケジュールはなく、成果に基づくプロセスだ」と言及。ウクライナの改革に関する進捗状況を来年秋に予定されている報告書に示すことが大きな目標とした。