アドベンチャーツーリズムで稼げぬ、自然「過保護」な日本
コメント
注目のコメント
記事に関しては問題点や課題はほぼその通りと同意出来る内容です。
しかし、スイスを中心に欧州で体験型観光を推進しながら、HATA(北海道アドベンチャートラベル協議会 http://hokkaido-adventuretravel.com/ )の顧問とJES(日本エコツーリズム協会 https://ecotourism.gr.jp/ )の運営委員を務め、日本のAT普及に当初から関わって来た者としてはこの記事に対してコメントしたいことがあり過ぎて困ってしまいました。特にニュースタイトルには違和感があります。
『出遅れた最大の原因は、自然の「保護」を重視するあまり、観光資源として生かせていないこと。(記事から引用)』
日本の多様で豊かな自然環境を活かすのはこれからだとしても、現在の状態を保つことが出来たのは少なからず保護・保全のしくみが機能していたからです。しかも日本やイギリスのような国立公園内に人が住んでいる国では環境保全のしくみが複雑化します。他国の国立公園のように敷地内の管理は容易ではないのです。そもそも観光資源となる自然環境が荒れてしまっていては観光地としての魅力そのものが無くなります。
現在、世界各国では新型コロナの影響もあり、RT(レスポンシブル ツーリズム:責任ある観光)と言う考え方が定着していて、様々な情報が発信されています。私が住むスイスでは「責任ある観光のための11のヒント」を提唱してします。
https://www.myswitzerland.com/en/planning/about-switzerland/sustainability/listicles/10-tips-for-responsible-tourism-in-switzerland/
他国のレスポンス ツーリズムの行動指針と違うところは、最後の11. Be a role model. (お手本になろう)」です。旅行者だけでなく事業者や住民に対しても、より良き行動を促すにはとても大事なポイントです。
今後130兆円まで伸びると言われているAT市場を取り込み、地域の経済的活性化に繋げることはとても重要なのですが、そのためだけに自然環境が犠牲になり住民の生活が脅かされることは決してあってはならないことだと思います。https://ssl.chukyo-u.ac.jp/educate/law/results/data/43/1/nagao.pdf
十和田八幡平国立公園内の、十和田湖から近い奥入瀬渓流にて落ちてきた枝で怪我して後遺症が残ったケースの裁判。自然に生えてきた樹木の管理責任を問われています。コレがあるため自然も観光客も過保護にしてしまわないとヤバい、と環境省レンジャーどもは考えております。
アメリカ式に自己責任で…となったらコレはコレで訴訟リスクを抱えてしまうため、いろいろな意識のパラダイムシフトが求められているのかもしれません。「お金=幸せ」というアメリカ的資本主義の考えからすると納得です。
また、一定の「過保護」があったため「自然」が残されている面もあります。
その過保護で保たれている「日本は2/3が自然」は、あくまでも海外の木々を伐採して紙を作り続けた上に成り立つ結果ですので、一概に胸を張れるものでもありません。
今までのことは別としても、日本国が生きていくためには、AT分野の成長は必要なので、国と民間が共通認識をもって取り組むべきでしょう。
今後の成長が楽しみです。
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