[東京 3日 ロイター] - 三菱商事は3日、2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)見通しを従来の1兆0300億円から、前年比22.7%増の1兆1500億円へ上方修正すると発表した。好業績に伴い、1000億円を上限とする追加の自社株買いも実施する。

オーストラリアの原料炭や液化天然ガス(LNG)の価格が想定より高値で推移したほか、LNG関連事業では、出資先からの受取配当金も増加した。修正予想はIBESがまとめたアナリスト7人による予想平均値の1兆1530億円と同水準。

22年4―12月期純利益は同期間として過去最高の9557億円(前年同期比48.2%増)だった。

同時に、期末配当を103円に引き上げ、年間配当額を180円に増配する。1000億円を上限に追加で自己株式を取得し、公表済みの自社株買い700億円と合わせた今期の総還元額は4320億円となる。

<大手商社で相次ぐ修正・株主還元拡充>

三井物産と丸紅も同日、通期純利益見通しの上方修正を発表した。三井物産は三菱商事に続き2社目の1兆円超えの純利益見通しとなる。修正に伴い、増配と追加の自社株買い1000億円を公表した。伊藤忠商事も250億円の追加取得を決め、丸紅は、好調な業績により財務基盤が安定したとして、還元方針を配当性向から総還元性向へと変更。今後は機動的に自己株式の取得を実施するとし、増配も発表している。

一方で、米金利上昇や長引くウクライナ情勢などを背景に世界経済の先行き不透明感は強い。三菱商事の野内雄三・最高財務責任者(CFO)は会見で、「ある程度の景気減速、インフレ下においても相応の収益力を発揮できる基盤を築けてきている」と述べた。

(浦中美穂)