(本文3段落目の「23-25年度」を「22ー24年度」に訂正します。)

[東京 3日 ロイター] - 丸紅は3日、2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)見通しを従来の5100億円から、前年同期比24.9%増の5300億円へ上方修正すると発表した。豪州原料炭価格の高止まりや英電力事業の増益が寄与し、過去最高益を更新する。

市況が高止まりしオーストラリアの原料炭事業が利益を伸ばしたほか、英国市場で電力卸・小売り事業を手掛ける子会社スマーテストエナジーが、市場のボラティリティーの高まりに伴う収益機会を捉え利益を拡大した。古谷孝之・最高財務責任者(CFO)によると不測の事態に備えて200億円を織り込んでおり、一過性の損失が出ない限りはさらなる上振れ余地がある。22年10―12月期には米穀物集荷・販売を手掛けるガビロンの穀物事業の売却益569億円を計上した。

同時に期末配当予想を1株当たり40.5円に引き上げ、年間配当額を78円へと修正した。22―24年度(訂正)の中期経営戦略で掲げる還元方針の変更も発表。これまで連結配当性向25%以上、年間配当の下限60円を方針として掲げてきたが、自己株取得も含めた総還元性向30―35%程度を目安とする。古谷CFOは、配当性向、自己株取得、成長投資や内部留保のバランスを含めた還元を示せるだけの「安定的な財務に達した」と述べた。

2022年4─12月期の連結純利益(国際会計基準)は、前年同期比41.5%増の4634億円だった。LNGのトレーディング収益拡大や米国の中古車販売金融事業も伸びた上、米航空機エアキャッスルの業績も改善した。

同社は米国事業も多く手掛けている。米金利の上昇について、古谷CFOは「今期・来期にかけて影響が出てくる」とした上で、同社のビジネスの金利に対する耐性は「相対的に強い」との考えを示した。

(浦中美穂編集:宮崎亜巳、田中志保)