(ブルームバーグ): ゴールドマン・サックス・グループとJPモルガン・チェースはインドの富豪ゴータム・アダニ氏の企業帝国に関連する債券について、一部資産の底堅さにより価値を提供し得るとの見方を顧客に明らかにした。

事情に詳しい複数の関係者によると、ゴールドマンのトレーディング幹部は2日の投資家との電話会合で社の見解として、アダニ氏率いるアダニ・グループの債券は底を打った可能性が高く、アダニ・ポーツ・アンド・スペシャル・エコノミック・ゾーンの社債は同社資産の価値を考慮した場合、投資対象として興味深い価格になったと述べた。

またJPモルガンのクレジットアナリストらはアダニ・エンタープライゼスの公募増資撤回前に出した顧客向けリポートで、一部系列企業の社債について価値が認められるとの見解を示した。

アダニ・グループ傘下企業の株価が急落し、社債も下落して一部社債がディストレスト水準となる中、これら証券は機会をうかがう投資家から注目されている。これを受け、米大手投資銀の顧客の間でも同グループを巡る危機の実態に対する関心が強まった。

ゴールドマンのトレーダーはアダニ・ポーツの社債について、手元資金は潤沢で、取引の流動性も十分だと評価し、同社は社債の借り換えを行えると予想。また同社が株式投資家の関心を呼んだり、資産を売却したりする可能性があるとしている。非公開情報だとして同関係者が匿名で明らかにした。

同関係者によれば、ゴールドマンはこの日、電話会合前にアダニの社債約1億7000万ドル(約220億円)相当の取引を行い、早い段階から同社債を購入しようとしているグローバルファンドやアジア以外のディストレスト投資家が関心を示したと明らかにしたという。

ゴールドマンの広報担当者は投資家との電話会合についてコメントを控えた。

原題:Goldman, JPMorgan Say Adani Debt Offers Value to Trading Clients(抜粋)

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