[2日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コムは2日、第1・四半期の営業利益がゼロに減少する可能性があるとの見通しを示した。人員削減によるコスト減では消費者やクラウド顧客の支出抑制の影響を相殺できない見込みだという。

2022年第4・四半期決算は売上高が市場予想を上回ったものの、今後数四半期は長らく収益に貢献してきたクラウド事業の成長が鈍化するとの見通しを示した。

アマゾンの株価はこの日7%超上昇して引けたが、決算発表を受けて時間外取引では5%下落した。

決算発表後のアナリストとの電話会議でアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は、経済の不確実性から「実質どの企業も」クラウドなどへの支出に慎重になっていると指摘。

「顧客が支出を少なくできる方法を見つける支援をする。長続きする事業関係の構築に努めている」と説明した。

高インフレと景気の先行き不透明感を背景に、同社はあらゆる部門でコストを削減する方針を示している。1月には人事部門などの削減規模が1万8000人を超えると明らかにした。

ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は、第4・四半期に人員削減関連費用6億4000万ドルを計上したことを明らかにした。一部食品スーパーの閉鎖や減損などで7億2000万ドルの費用も計上した。

積極的なコスト削減にもかかわらず、第1・四半期の営業利益見通しはゼロ─40億ドルとした。前年同期は37億ドルだった。ファクトセットがまとめたアナリスト予想は40億4000万ドル。

オルサブスキー氏はこれについて、顧客企業のコスト削減に伴うクラウド事業の売上高減速や、年末商戦終了後の広告支出鈍化が背景と説明。個人消費の動向も注視していると述べた。

<割安品にシフト>

第4・四半期の純売上高は1492億ドルと、リフィニティブのまとめたアナリスト予想の1454億2000万ドルを上回った。書き入れ時の年末商戦にプライム会員向けに前倒しセールを実施するなどの販促策が奏功した。

ただ、オルサブスキー氏は個人消費が一部分野で割安ブランドに移行し、必需品の売上高比率が高まっていると指摘。欧州や英国では高インフレやウクライナでの戦争が需要に打撃を及ぼし、伸びを下押ししたと述べた。

クラウドコンピューティング部門の売上高は20%増の214億ドルとなり、予想(220億ドル超)に届かなかった。

今後の業績はこれまで利益の成長を支えてきたクラウド事業に大きく左右される。マイクロソフトの幹部なども景気後退の懸念が強まる中で企業がIT(情報技術)投資を見直す動きが広がっていると指摘している。

インサイダー・インテリジェンスのアナリスト、アンドリュー・リップマン氏は、クラウドと広告事業の成長鈍化が今後、利益の足を引っ張るとの見方を示した。