(ブルームバーグ): 金融庁が、地方銀行に対し従業員の賃上げを促していることが分かった。政府はインフレ率を超える賃上げの実現を企業に求めており、その一環とみられる。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。

関係者によると、金融庁は全国の地銀に対し、事業の持続可能性を高めるため人材への投資が重要であると伝え、賃上げなど検討するよう働き掛けた。金融庁の担当者は、さまざまな方法で地銀とコミュニケーションを取っていると述べたが、具体的なやりとりの詳細についてはコメントを控えた。

この動きに対し、複数の大手地銀幹部は、物価上昇率が41年ぶりの高水準で推移していることなどから、賃上げを検討していると話した。ただ、そのうちの一人は、報酬は経営戦略の問題であり、規制当局がそれに口出しすべきではないと述べた。

賃上げを巡っては、労働組合の全国組織「連合」も春闘で5%程度の賃上げを求めており、物価上昇に伴い企業の賃上げ機運は高まっている。

第一生命保険は4月から、平均5%の賃上げを実施する方針を固めた。衣料品チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは3月から国内従業員の報酬を見直す計画を発表。国内通信大手のソフトバンクも社員の給与引き上げを検討している。

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