[ブリュッセル 1日 ロイター] - 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は1日、欧州が電気自動車(EV)などの「グリーン」産業の製造拠点とするために国家支援の水準を高めることを提案した。脱炭素関連産業で米国と競争し、中国への依存を減らすことが狙い。

欧州委のフォンデアライエン委員長は、既存のEU資金の用途変更、グリーンプロジェクトのより迅速な承認、技能向上、貿易協定締結による重要な原材料供給確保の計画の一環として発表した。米インフレ抑制法を含めた米中の総額数十億ドル規模の脱炭素関連産業支援策に対抗する。

フォンデアライエン氏は記者会見で「主要国は適切にネットゼロ(温暖化ガス排出の実質ゼロ化)産業への投資を増やしている」とし、「われわれが見ているのは、世界的な競争の舞台があるということだ」と指摘。「今後何年かで経済の形、ネットゼロ経済、そしてその位置づけが決定されることをわれわれは知っている。世界で必要なネットゼロ産業の重要な一員でありたい」とも語った。

フォンデアライエン氏は、全てのEU加盟国がフランスやドイツと同規模の補助金を提供できるわけではないことを前提としながらも、再生可能エネルギーや脱炭素産業への投資に対する国家補助のルールを2025年末まで一時的に緩和することを提案した。

欧州委は2月9日─10日の首脳会議で、加盟国の支持獲得を望んでいる。ただ、当初はかなり否定的な反応も見られた。