[ドバイ 31日 ロイター] - 経営が行き詰まった企業の債券であるディストレスト債を手掛ける国際的投資家が、ペルシャ湾岸地域での投資機会に着目している。企業が世界経済への逆風やコロナ禍後の景気回復に対応する中、この地域では不良債権が増加する可能性があるからだ。

世界的な金利上昇と、現地通貨の大半が連動(ペッグ)しているドルの上昇が原因で、この地域では非石油セクターの借り入れコスト等が上がっている。各国で法改正が進み、世界標準に沿ったルールが増えていることも企業再建のチャンス拡大につながっている。

米ヘッジファンド運営会社のデービッドソン・ケンプナーは31日、同社が助言する投資ファンドがアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ商業銀行から42億ディルハム(11億4000万ドル)相当の不良債権を買い取ったと明らかにした。

ディストレス債投資を手掛けるSCローウィとフィデラの幹部も、今年はUAEでの事業を強化する方針を示している。

UAEを拠点とするフェニックス・アドバイザーズのディリップ・マサンド最高経営責任者(CEO)はロイターに「(ディストレス)債権の売り手はこれまで外資系銀行だったが、現地の銀行も債権の一部を処分する機会を理解し始めている」と説明。売却債権の価格設定や、買い手と売り手のマッチングなどを学びつつあると述べた。

SCローウィの中東投資責任者、Berkay Oncel氏はロイターに、銀行は不良債権を流通市場で売却する機会に関心を強めていると述べた。