[シドニー 31日 ロイター] - オーストラリア統計局が31日発表した2022年12月の小売売上高は前月比3.9%減の345億豪ドルとなり、20年8月以来の大幅減となった。予想中央値の0.3%減よりも大幅なマイナスだった。

1年ぶりの減少で、物価高と金利上昇が消費にようやく負の影響を与え始めた格好。オーストラリア準備銀行(中央銀行)が金融引き締めの度合いを弱める根拠になり得る。

ブラックフライデーのセールなどで好調だった11月の小売売上高は当初の1.4%増から1.7%増に上方改定された。

統計局の小売統計責任者、ベン・ドーバー氏は、生活費上昇による消費の減速が示されたと説明。小売事業者の報告によると、消費者の多くは生活費上昇を受けて大幅な値引きが行われるブラックフライデーのセールがある11月にクリスマス関連の買い物を前倒ししたという。

小売売上高の発表を受けて豪ドルは0.7046米ドルと、発表前の0.7060米ドルから下落。市場が織り込む政策金利のピークは3.8%から3.7%にやや低下した。

同国のインフレ率は32年ぶりの高水準である7.8%に達し、コアインフレ率に当たる消費者物価指数(CPI)トリム平均値の伸び率が6.9%に加速し、中銀の予想(6.5%)を大幅に上回った。

CPI統計を受けて中銀が来週、0.25%ポイントの追加利上げを行うことがほぼ確実視されている。

オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)のアナリストは、金利上昇とインフレによる最近の実質賃金の減少で23年に消費の伸びが鈍化すると予想している。

UBSの分析によると、現金貯蓄に余裕がある人の支出ペースが23年半ばからトレンドを大きく下回る水準に減速する見通し。