[ワシントン 10日 ロイター] - 世界銀行は10日公表した最新の世界経済見通しで、2023年の世界実質国内総生産(GDP)成長率予測を1.7%に下方修正した。22年6月時点での予測は3.0%だった。09年と20年の景気後退期を除くと、過去30年近くで最も低水準となる。

中央銀行の利上げの影響が拡大することや、ロシアのウクライナでの戦闘や経済大国の低迷を背景に多くの国が景気後退に陥る可能性があるとの見方を示した。

24年の世界成長率見通しは2.7%に加速するとしつつも、22年見通しの2.9%を下回るとした。20━24年の成長率は平均で2%を下回り、5年間の成長としては1960年以降で最も緩慢なペースになるという見通しを示した。

米国の成長率予測を0.5%、ユーロ圏を横ばいにそれぞれ引き下げた。先進国経済の大幅な減速により、前回の新型コロナウイルス流行による景気後退期から3年もたたないうちに再び世界的な景気後退に陥る可能性があると指摘した。

世銀は「経済状況が脆弱である以上、予想を超えるインフレやその対策としての急速な利上げ、新型コロナ感染再拡大、地政学的緊張の高まりなど新たな逆風が生じると世界経済は景気後退に陥る」との声明を出した。

重い債務負担と弱い通貨、鈍い所得上昇、企業投資の鈍化を背景に特に厳しくなる見通しの新興市場や発展途上国は、24年までの投資の伸びは3.5%と過去20年間のペースの半分にも満たなくなると予測している。

中国の成長率は23年に4.3%に回復すると予測。ただ、新型コロナ禍による混乱の深刻さと外需の弱まりで22年6月予測を0.9%ポイント下回っている。