[北京/ソウル/東京 10日 ロイター] - 在韓国の中国大使館は10日、韓国人への短期訪問ビザ(査証)発給を停止したことを明らかにした。中国からの入国者に対する新型コロナウイルスの水際対策強化への対抗措置は初めて。日本でも発給手続きができなくなっていたが、在日本の中国大使館は同日夜、日本人向けも一時停止したと発表した。

在ソウルの中国大使館は、韓国が中国に対する「差別的な入国規制」を解除すれば政策を調整すると対話アプリ「微信(ウィーチャット)」で述べた。大使館関係者は短期訪問ビザ発給停止を確認した。

中国の秦剛外相は9日、韓国の朴振外相との電話会談で、中国からの入国者に対する韓国の水際対策強化に懸念を表明していた。

中国外務省は10日、コロナの感染防止策について、事実と科学に基づいたものにするよう関係各国に求めた。汪文斌報道官は会見で、コロナ予防措置は差別的なものであるべきではないと強調。2国間の通常の人的交流に影響を及ぼすものであってはならないと述べた。

韓国は、中国からの渡航者について、2日から到着時のPCR検査を実施しており、5日から出発前48時間以内に受けたPCR検査、または24時間以内に受けた迅速抗原検査での陰性証明の提示を義務付けている。

しかし入国後検査で陽性となった中国人男性が隔離施設から一時行方不明になる事例も起き、中国からの感染拡大に対する懸念が高まっている。

韓国外務省報道官は会見で、中国からの入国者に対する水際対策強化は「科学的根拠に基づいた客観的な」措置と述べた。「われわれは透明性をもって関連情報を国際社会と交換しており、中国側とも意思疎通を続けている」と語った。

一方、東京にある中国大使館も10日夜、日本人に対するビザ発給を一時停止したと発表した。理由と再開時期は明らかにしていない。

中国などを中心に渡航手続きをしている東京の旅行会社は同日夕、日本人への観光・商用ビザすべて発給を停止したと中国当局から通知を受けたことを明らかにしていた。別の旅行会社も、大阪・名古屋・東京で手続きができず、当面停止すると通知されたとしていた。

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