[15日 ロイター] -

<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが上昇し、特に円と英ポンドのほか、資源国通貨に対して値を上げた。市場では米連邦準備理事会(FRB)が来年に入っても利上げを継続するとの見方から、リセッション(景気後退)リスクが意識されている。

株価が下落する中、リスク選好度が低下したこともドル買いにつながった。

FRBの前日の0.50%ポイントの利上げに続き、欧州中央銀行(ECB)はこの日、0.50%の利上げを決定。FRBとECBは共に利上げ幅を0.75%から縮小させたものの、利上げ継続を示唆した。イングランド銀行(英中央銀行)もこの日、0.5%の利上げを決定した。

コンベラ(ワシントン)のシニアマーケットアナリスト、ジョー・マニンボ氏は「FRBとECBがタカ派的な姿勢を示したことで、景気後退懸念が高まっている」と指摘。「FRBが利上げは終了していないと示唆したことに加え、パウエルFRB議長が利下げに転じるハードルを高く設定していることで、ドルが上昇している」と述べた。

JPモルガン・アセット・マネジメントのボブ・マイケル最高投資責任者(CIO)は、「FRBは1980年以来最も速いペースで利上げを行い、他の国もそれに追随している。量的引き締め(QT)はまだ初期段階にあり、インフレは痛ましいほどの高水準にとどまっている」とし、「この全てがソフトランディング(軟着陸)で終わると考えるのは極めて野心的だ」と指摘。JPモルガン・アセット・マネジメントは景気後退の確率を60%とし、当初予想の50%から引き上げた。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米金融・債券市場では、米債利回りが低下した。欧州中央銀行(ECB)が追加利上げを決定し、今後の利上げも示唆したことを受け欧州債利回りは上昇したが、軟調な経済指標を受けた。

一方、米国株は大幅安。米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを長期化させる方針を示したことで、利上げサイクルが近く終了するとの見方が後退し、利上げがリセッション(景気後退)につながるとの懸念が強まった。

ジョン・ハンコック・インベストメント・マネジメントの共同チーフ投資ストラテジスト、マシュー・ミスキン氏は「リスクオフの環境下で米債が買われているようだ。株式と国債の昔ながらの逆相関が現れ始めているのかもしれない」と述べた。

米商務省が15日発表した11月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.6%減と、市場予想0.1%減を超えて減少し、2021年12月以来11カ月ぶりの大幅な落ち込みとなったことを受け、米債利回りは序盤から低下。

FRBが15日発表した11月の鉱工業生産指数は、製造業生産指数が0.6%低下し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(0.1%低下)以上の落ち込みとなった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 米国株式市場は大幅続落し、主要株価指数が数週間ぶりの大幅な下落率となった。インフレ抑制に向けた米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げが景気後退を招くとの懸念が強まった。

S&P総合500種とナスダック総合は11月2日以来、ダウ工業株30種は9月13日以来の大幅な下落率を記録。3指数とも終値は11月9日以来の安値となった。

FRBは14日、予想通り0.50%ポイントの利上げを発表し、利上げ幅はそれまで4会合続いた0.75%ポイントから縮小した。だがパウエル議長は、インフレ鈍化の可能性を示す最近の兆候は物価高抑制に成功したと確信するには不十分だと指摘。FRBは政策金利が5%を上回る水準まで来年も利上げが続くとの見通しを示した。

金融情報会社コンティゴのメリッサ・ブラウン氏は「FRBは明らかに依然インフレを懸念しているようで、利上げは終わりではない」とし、「追加のデータを確認するまで何が状況を変えるか判断するのは難しい。企業決算かもしれないし、次回のインフレ統計、もしくは来年の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明かもしれない」と述べた。

欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)が一段の利上げを示唆したことも世界景気の後退懸念を強めた。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続見通しを背景に続落した。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は14日、政策金利の0.5%引き上げを決めた。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で、利上げを「さらに進める必要がある」と明言。FRBが「タカ派」スタンスを維持したと受け止められ、利上げ長期化への懸念が台頭した。外国為替市場では、ドル高・ユーロ安基調が継続。対ユーロでのドルの一段の上昇が警戒される中、ドル建てで取引される金は売り地合いが強まり、ほぼ終日マイナス圏で推移した。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、4営業日ぶりに反落した。米欧の中央銀行の相次ぐ利上げ決定が景気を冷やし、需要が減退するとの懸念が高まった。

米連邦準備理事会(FRB)は14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.5%の利上げを決定。パウエルFRB議長は、さらなる利上げを進める必要があると明言した。FRBによる利上げ局面が長期化するとの思惑から、この日の外国為替市場では対主要通貨でドルが上昇。ドル建て商品の原油先物は割高感から下落した。FRBに続き、欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行など欧州の主要中銀が相次いで政策金利を引き上げたことで世界的な景気悪化への警戒感が強まったことも、原油の売りを促した。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 137.76/137.79

始値 136.52

高値 138.17

安値 136.19

ユーロ/ドル NY終値 1.0626/1.0630

始値 1.0624

高値 1.0735

安値 1.0593

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 109*08.50 3.4979%

前営業日終値 108*14.50 3.5400%

10年債(指標銘柄) 17時04分 105*20.00 3.4500%

前営業日終値 105*05.50 3.5030%

5年債(指標銘柄) 17時05分 101*04.50 3.6212%

前営業日終値 101*00.00 3.6520%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*15.38 4.2404%

前営業日終値 100*14.88 4.2490%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33202.22 -764.13 -2.25

前営業日終値 33966.35

ナスダック総合 10810.53 -360.36 -3.23

前営業日終値 11170.89

S&P総合500種 3895.75 -99.57 -2.49

前営業日終値 3995.32

COMEX金 2月限 1787.8 ‐30.9

前営業日終値 1818.7

COMEX銀 3月限 2330.5 ‐83.1

前営業日終値 2413.6

北海ブレント 2月限 81.21 ‐1.49

前営業日終値 82.70

米WTI先物 1月限 76.11 ‐1.17

前営業日終値 77.28

CRB商品指数 274.7178 ‐1.9125

前営業日終値 276.6303