(ブルームバーグ): 資本関係の見直しなどを巡る日産自動車と仏ルノーの交渉が遅れており、12月中の合意到達は難しく、越年が確実な情勢となった。事情に詳しい複数の関係者が7日明らかにした。

公表されていない情報だとして匿名を条件に話した関係者らによると、両社は7日にロンドンでアライアンス(企業連合)について明らかにする暫定的な計画を取りやめ、1月末にかけて発表する方向で考え始めている。

ルノーの電気自動車(EV)新会社に日産は15%を出資する可能性があるものの、その評価額に関する見解の相違は残ると関係者は述べた。両社で保有する知的財産(IP)の扱いを巡る問題も解決されていないという。日産はEV新会社に5億-7億5000万ドル(約680億-約1030億円)を出資すると関係者らは述べていた。

関係者によると、日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は7日、ルノーのフランス本社で開かれたアライアンスの取締役会に出席したが、会合で合意は見いだせなかった。年内に合意に至るための努力は今後も継続するものの、実現する可能性は低いという。両社とも協業の早期実現を望んでいるとし、今後はそれほど時間がかからず、来年1月にも合意に達するとの見通しを関係者は示した。

両社は当初11月15日の合意を目指していたが、実現しなかった。EV新会社への日産の出資や両社の資本構成の是正などをまとめて処理するため、協議内容が複雑となり、時間を要しているという。

別の関係者によると、世界の自動車業界の競争が激化する中、両社が互いを必要としていることは確かで、交渉が破談となる事態は想定していないという。

日産広報担当の奥田浩司氏は交渉中の話についてはコメントしないとした上で、正式に決まり次第公表すると述べた。ルノーの広報担当者はコメントを控えた。

両社の交渉は10月に表面化した。EV新会社への出資のほか、ルノーによる日産への出資比率を現在の約43%から時間をかけて15%まで減らすことについても協議している。日産は、経営危機にひんしていた1999年にルノーの救済出資を受けて以来続いていた資本関係の是正を目指す。 

--取材協力:鈴木克依、西前明子.

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