[ワシントン 5日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が5日発表した11月の非製造業総合指数(NMI)は56.5と、予想外に上昇した。内訳の雇用も改善し、来年に景気後退が懸念される中でも米経済の基調的な勢いを示した。

ロイターのまとめたアナリスト予想は53.3。

10月は2020年5月以来、約2年半ぶりの低い水準となる54.4だった。

50を超える数値は、米経済の3分の2超を占めるサービス業の拡大を示す。

堅調な指標によって、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続リスクが高まる可能性がある。BMOキャピタル・マーケッツのエコノミスト、プリシラ・ティアガモアティ氏は「成長見通しには朗報だが、需要を抑制しインフレに対応しようとしているFRBにとっては芳しくない内容」と述べた。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「第4・四半期の経済活動の伸びを示唆する個人消費のデータと一致している。しかし、金利の上昇がより大きな打撃を与え始めるため、この回復力は来年には弱まるだろう」と述べた。

11月は、建設業、医療・社会福祉業、小売業、専門・科学・技術サービスなど13業種が伸びを示した。一方、情報産業や卸売業などでは減少した。

「新規事業の受注は堅調」(建設業)、「優秀な人材に対する需要は依然として高い」(専門・科学・技術サービス業)、「安定している」(小売業)など、事業者からの報告はかなり明るいものだった。

一方、運送・倉庫業では人材の確保が依然として課題となっている。

新規受注指数は56.0と、前月の56.5から低下。輸出の急減が報告されており、世界経済の減速とドル高が響いた可能性が高い。

一方、雇用指数は51.5と、10月の49.1から改善。ただ、受注の減速が重しとなり、雇用指数の今後の伸びは限定的となる公算が大きい。

支払い価格指数は70.0と、前月の70.7から低下。供給の改善継続を反映した。

供給業者の納入を示す指数も53.8と、前月の56.2から低下した。50を超えると納入が遅くなることを示す。

堅調な一連のデータを受けて、2023年に広く予想されている景気後退は短く、それほど厳しくないものになるとの楽観的な見方が広がっている。一部のエコノミストからは、成長率は急激に低下するものの景気後退は避けられるとの見方も聞かれた。