[18日 ロイター] -

<為替> 米国債利回りの上昇を背景にドルが小幅高となった。市場では米連邦準備理事会(FRB)の利上げの道筋が引き続き注目されている。

ドルは取引終盤にかけて上げ幅を拡大。終盤の取引でユーロは対ドルで0.34%安の1.0329ドル。一時は0.29%上昇していた。ドルは対円で0.8%高の140.32円。

主要6通貨に対するドル指数は0.19%高の106.90。一時は0.33%下落していた。週初からは約0.58%上昇。週間ベースでは10月初旬以来の大幅な上昇となる見通し。

前日はセントルイス地区連銀のブラード総裁が、金融政策を巡る「寛大な」分析の下でもFRBは少なくとも合計1%ポイントの追加利上げを実施する必要があるとし、これまでの利上げは「観測されるインフレに対して限られた効果しかない」と指摘。外為市場はこうしたタカ派的な発言に反応した。

この日は、ボストン地区連銀のコリンズ総裁がFRBはインフレ率の低下に向け一段の利上げを行うとし、0.75%ポイントの利上げがなお検討されていると述べた。

FXストリートのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサニ氏は、ブラード総裁らのタカ派な発言を受け、FRBのインフレ対応に向けた利上げが「一旦停止」に近づいているとの観測が後退し、米国債利回りとドル相場の上昇につながったと指摘。「米国債利回りが2日連続で上向いたことで、先週のインフレ指標を受けた急激な売りからドルは小幅に改善した」と述べた。

一部のアナリストは、今年に入ってからのドルの堅調な動きを受け、早くも年末に向けたポジション調整が始まっている可能性を示唆。ソシエテジェネラルのマクロストラテジスト、キット・ジュケス氏は「2022年は経済成長の加速、金利上昇、地政学的懸念など、ドル相場が上昇する条件がほぼ完璧に揃っていた」とし、「年末に向けポジションを減らす動きが本格的に始まった」との見方を示した。

<債券> 利回りが上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを継続するとの見方が背景にある。金融引き締めが景気後退を招くことへの懸念から、イールドカーブは大幅な逆イールドが続いている。

今週も複数のFRB当局者が、依然として高いインフレ率を抑制するため利上げを継続する必要性を訴えた。

TD証券(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ゲンナジー・ゴールドバーグ氏は「市場は10月米消費者物価指数(CPI)に過剰反応し、FRB当局者は発言を通じて押し戻そうと懸命だった」と述べた。

ボストン地区連銀のコリンズ総裁は18日、物価上昇圧力が弱まっている証拠はほとんどないため、0.75%ポイントの利上げがなお検討されていると述べた。

セントルイス地区連銀のブラード総裁も17日、金融政策について、「寛大な」分析の下でも、FRBは少なくともおそらく合計1%ポイントの追加利上げを実施する必要があるとの見解を示した。

来週23日に発表される11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は、FRBが最終的にどの程度の利上げを見込んでいるのか、新たな手がかりとなる可能性がある。

フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む、ターミナルレート(利上げの最終到達点)の予測は6月までに5.06%となっている。15日には4.89%に低下していた。

10年債利回りは3.816%まで上昇した。16日には10月5日以来の低水準となる3.671%まで低下していた。

2年債利回りは4.507%。10日のCPI発表後に付けた2週間ぶり低水準4.290%を上回って推移している。

2・10年債の利回り差はマイナス70ベーシスポイント(bp)と2000年以来の水準に接近した。

市場では、FRBは12月13─14日のFOMCで0.50%ポイントの追加利上げに踏み切るとの見方が強い。

<株式> 不安定な値動きとなる中、反発して取引を終えた。ディフェンシブ銘柄が上昇し、エネルギー株の下げを補った。タカ派的な米連邦準備理事会(FRB)高官の発言に対する市場の反応も限られた。

ボストン地区連銀のコリンズ総裁は18日、物価上昇圧力が弱まっている証拠はほとんどなく、インフレ抑制に向け一段と取り組む必要があるとし、0.75%ポイントの利上げがなお検討されていると述べた。

トラスト・アドバイザリー・サービスの共同最高投資責任者のキース・ラーナー氏は、FRB当局者による「非常にタカ派的な発言が続いているが、市場は実に冷静に受け止めている」とし、「これまでのように市場を押し下げることはなかった」と述べた。

前日にはセントルイス地区連銀のブラード総裁がこれまでの利上げは「観測されるインフレに対して限られた効果しかない」とし、FRBは利上げを継続する必要があるとの見方を示したことを受け、株価は下落していた。

ニューヨーク・ライフ・インベストメンツのエコノミスト兼ポートフォリオ・ストラテジスト、ローレン・グッドウィン氏は、雇用関連指標などの発表を控え、「市場は幾分様子見気分が強い」と指摘した。

週足ではS&P総合500種が0.7%安、ナスダック総合は1.6%安、ダウ工業株30種はほぼ変わらずだった。

この日の取引では、S&P主要セクターの公益が2%高、不動産が1.3%高、ヘルスケアが1.2%高で上昇を主導。一方、中国の需要減退や米利上げへの懸念を背景に下落した原油相場の動向に追随し、エネルギーは0.9%安だった。

出会い系アプリ「グラインダー(Grindr)」は約214%急騰。特別買収目的会社(SPAC)との合併を完了し、この日上場した。

カジュアル衣料品大手ギャップは7.6%高。17日発表した第3・四半期(8─10月)決算は、収益が市場予想を上回った。

チケット販売大手チケットマスターの親会社ライブ・ネーション・エンターテインメントは7.8%安。ライブミュージック業界で権力を乱用した疑いで米司法省が調査を行っているという米紙ニューヨーク・タイムズの報道が嫌気された。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.54対1の比率で上回った。ナスダックでも1.13対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約97億株。直近20営業日の平均は120億株。

<金先物> 米利上げ局面の長期化観測がなお重しとなり、4日続落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比8.60ドル(0.49%)安の1オンス=1754.40ドル。週間では15.00ドル(0.85%)上昇した。

<米原油先物> 米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利上げが継続するとの観測が広がり、3日続落した。米国産標準油種WTI中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比1.56ドル(1.91%)安の1バレル=80.08ドル。週間ベースでは、8.88ドル(9.98%)下落した。

ドル/円 NY終値 140.35/140.38

始値 139.85

高値 140.42

安値 139.7

ユーロ/ドル NY終値 1.0324/1.0325

始値 1.0364

高値 1.0386

安値 1.0314

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時03分 101*07.00 3.9304%

前営業日終値 101*30.50 3.8890%

10年債(指標銘柄) 17時02分 102*12.50 3.8345%

前営業日終値 102*29.00 3.7730%

5年債(指標銘柄) 17時02分 100*15.50 4.0155%

前営業日終値 100*26.75 3.9370%

2年債(指標銘柄) 17時03分 99*22.38 4.5372%

前営業日終値 99*27.25 4.4540%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33745.69 +199.37 +0.59

前営業日終値 33546.32

ナスダック総合 11146.06 +1.11 +0.01

前営業日終値 11144.96

S&P総合500種 3965.34 +18.78 +0.48

前営業日終値 3946.56

COMEX金 12月限 1754.4 ‐8.6

前営業日終値 1763.0

COMEX銀 12月限 2099.7 +2.2

前営業日終値 2097.5

北海ブレント 1月限 87.62 ‐2.16

前営業日終値 89.78

米WTI先物 12月限 80.08 ‐1.56

前営業日終値 81.64

CRB商品指数 276.3964 ‐1.2042

前営業日終値 277.6006