[14日 ロイター] - 米ルーシッド・グループや米リビアン・オートモーティブといった新興電気自動車(EV)メーカー各社は、原材料費と生産コストが大きく上昇しているため、EVを1台販売するたびに多額の損失を計上している。ここ2週間で発表された各社の直近の四半期決算で明らかになった。

四半期決算では、各社は納車目標の達成に苦闘している上、手元資金が急速に減少していることも示された。

ルーシッドの7─9月期決算では、売上原価が前年同期の330万ドルから4億9250万ドルに急増。注文から納車まで長期間待たされる事態を懸念した顧客の注文取り消しが響き、損失は拡大した。

1年余り前に上場したルーシッドの時価総額は、昨年11月に950億ドルでピークに達したが、直近では約200億ドルにしぼんだ。

同社は少なくとも来年第4・四半期まで事業を継続するのに十分な手元資金があると強調。株式売却を通じた15億ドル程度の資金調達を目指していると明らかにした。

英新興EVメーカーのアライバルは先週、来年末まで事業を継続するのに十分な手元資金を確保できない可能性があり、人員を削減しなければならなくなると警告した。同社はまだ本格的な生産を開始していない。

米同業のカヌーは今年5月、事業の継続に「重大な疑念」が生じたと表明。9月末時点で手元資金は680万ドルとなり、前年同期の4億1500万ドルから大きく減少した。

多くの新興EVメーカーは7─9月期決算で多額の損失を計上。物価の急騰と世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱による高コストは当面、解消されないとの見通しを示した。

リビアンは9月末時点の手元資金が138億ドル。同社はアマゾン・ドット・コムに電動配送車10万台を供給する契約を締結している。ただCFRAの推計によると、7─9月期に同社のEVは販売価格が平均8万1000ドルであったのに対し、販売原価は約22万ドルだった。

カナコード・ジェニュイティのアナリスト、ジョージ・ギアナリカス氏は「EV事業は、起業当初は資金を使い果たす段階であり、難関を乗り越えるのは難しい」と述べた。

アナリストらは、新興EVメーカー各社が景気低迷局面で生き残りたければ、資金を節約する手法を見つけなければならないと話している。