(ブルームバーグ): 米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請した暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの主要資産の価値急減と不正な資産引き出し問題は、顧客が預けた資産の大部分を取り戻すことは望み薄なことを示唆している。

関係者によると、FTXが破産申請前日に投資家と共有したバランスシートの内訳によれば、負債は90億ドル(約1兆2500億円)近くで流動資産は9億ドル。「流動性が少ない」資産は55億ドル。「非流動的」資産は32億ドルだった。知名度の低い仮想通貨セラムやソラナ、FTTなどが保有資産の大部分を占めており、価値はその後、急減している。

ブロックチェーン分析会社エリプティックによれば、破産申請から24時間以内の暗号資産の不正引き出しは推定4億7700万ドルに上ったとみられ、顧客が回収できる資産はさらに損なわれた。FTXは法執行機関と窃盗の疑いで調査を開始している。

貸借対照表では「内部で適切に分類されていない隠された」法定通貨口座が80億ドルのマイナス状態にあることや、ユーザーが先週日曜日に50億ドル引き出したことにも言及があった。

関係者の1人によれば、貸借対照表は不完全で詳細な内容ではない。貸借対照表については英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が先に報じた。貸借対照表に関する電子メールでの問い合わせにバンクマンフリード氏の返答はない。

FTXの貸借対照表に掲載された主要資産の内訳は以下の通り。

セラムのトークン:22億ドル

貸借対照表に記載されている最大の資産は、セラムのトークン「SRM」22億ドル相当。セラムの価格は11月10日以来、約38%下落している。コインマーケットキャップのデータによれば、セラムの時価総額は約6500万ドル。

SOLトークン:9億8200万ドル

貸借対照表にはソラナのトークン「SOL」9億8200万ドルの記載もある。FTXが後援するエコシステムからデベロッパーは距離を置いている。

MAPSトークン:6億1600万ドル

MAPSトークンの価格は過去2日間で25%下落した。コインマーケットキャップによると、現在のMAPSトークンの時価総額は350万ドル。

FTTトークン:5億5400万ドル

FTXが発行するトークンであるFTTトークンの価格は過去2日間で50%下落した。

ロビンフッド株:4億7200万ドル

ロビンフッド株は11日に13%上昇したため、貸借対照表の記載額よりも資産価値が上昇したことになる。しかし、バンクマンフリード氏の保有するロビンフッド株は、11日の破産申請リストに含まれていなかったエマージェント・フィデリティと呼ばれる組織の下にある。

原題:FTX’s Balance Sheet, Hack Paint Dim Picture for User Recovery(抜粋)

(FTXの貸借対照表に掲載された主要資産の内訳を追加して更新します)

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