株式会社ユーザベースは、2022年11月9日に2022年第2四半期の決算説明会を開催しました。当日の様子をほぼ全文採録でレポートいたします。

【登壇者】
代表取締役Co-CEO 兼 CTO 稲垣 裕介
代表取締役Co-CEO 佐久間 衡
執行役員CFO 千葉 大輔 
佐久間 決算のお話の前に、本日カーライルによるユーザベースの公開買い付けに対して、賛同の意見を表明しました。このことに関して、まずお話したいと思います。
はじめに、NewsPicks、SPEEDA、FORCAS、INITIAL、Incubation Suiteなど、ユーザベースのサービスをご利用いただいている皆様。今回の公開買い付けがどういう結果になろうとも、ユーザーの皆様により役立つ、より良いサービスをしっかりお届けしていくことをお約束します。サービスの運営方針には、何の変更もございません。
公開買い付けの詳細に関しては、プレスリリース(適時開示)をご覧いただければと思いますが、今回の1,500円という買い付け価格。こちらは、弊社の中で独立性を有した特別委員会でしっかり協議された価格で、株主の皆様に対して応募を推奨できる適切な価格であると考えております。
そして、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパス実現のために、カーライルをパートナーとして非上場化することが最善の道であると、私は確信しています。
例えば、私が注目していた会社で、Zoominfoという会社がございまして、ユーザベースと同じぐらいの時期に創業した会社ですね。実はDiscover Org時代からデータ・パートナーシップの関係で、過去にいろいろやり取りもしてきた会社でした。その会社に対して、カーライルは初期の投資家で、(ユーザベースと)同じ時期に設立されたにもかかわらず、圧倒的に高成長して、1兆円規模の企業になっています。しかもその裏には積極的なM&A戦略があり、カーライルのサポートがあったと。
そのような、グローバルなソフトウェア企業の高成長をサポートしていくようなグローバルの知見とネットワークが、カーライルにはあります。ユーザベースは「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」ことを目指している企業です。日本ではなく、世界ですね。
2020年末にQuartz事業の撤退があり、ユーザベースのグローバル事業は大きく後退しました。再度グローバルに大きく挑戦していくためには、まず国内の事業をしっかり成長させ、収益性を高め、大きな投資余力を生み出していく必要がある。そして、グローバルに継続的に投資していく。その投資を、ユーザーにとっての大きな価値に結実させて、世界中にユーザーを増やしていく。
経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる。そのために、カーライルをパートナーとして非上場化するということが最善であると考え、私は本公開買い付けに賛同しています。
続いて、決算発表に移ります。またQ&Aの時間でも、決算の件に加え、公開買い付けの件に関してもご質問いただければと思います。
佐久間 ユーザベースは昨年、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」というパーパスを作りました。この実現のために、ユーザベースは存在しています。
佐久間 企業側、個人側、両方のサービスを展開しておりまして、企業側に関しては、顧客視点で変化にスピーディーに適応する経営、アジャイル経営を広めていく。そのためのサービス、SPEEDA、FORCAS、AlphaDrive/NewsPicks等を展開しています。
個人向けには、ビジネスを楽しみ自ら行動する人を増やしていきたい、そのために、経済に関心を持ち、ニュースを楽しむ人を増やすNewsPicks。人の知見を循環させ、社会課題の解決に繋げていくために、NewsPicks Expertというサービスを展開しています。
佐久間 パーパスに「経済情報の力で」とあるように、ユーザベースの最大の特色は、経済情報の共同活用です。左側にあるように、SaaS事業で共通した企業・業界データベースを利用しております。また、NewsPicksのニュースをSaaS事業全体で活用しております。
さらにNewsPicks Expertという人の知見、その力をSPEEDA、NewsPicksで活用しております。このように、経済情報を全サービスで共同活用していくビジネスモデルであるがゆえに、経済情報に効率的に投資でき、大きなユーザー価値を実現できる。これがユーザベースの特徴です。

業績予想の修正について

佐久間 次に業績予想の修正についてお話します。NewsPicks事業の売上高の未達を主な要因として、今期売上高の予想を195億円〜200億円、それを182億円に修正します。
また、EBITDA、営業利益、経常利益、純利益、これをそれぞれ10億円、3億円、4億円、5億円に修正いたします。約束した計画をしっかり達成することができず、下方修正となってしまったこと、大変申し訳ございません。
より詳細に説明しますと、売上高が下方修正になる中、コスト削減を主にNewsPicks事業で進めたため、EBITDAに関しては業績予想内での着地を見込んでいます。
営業利益については、ソフトウェアの資産計上範囲を見直した影響により3億円に下方修正しております。
経常利益についてはUB Ventures の保有株式の売却によりプラスがあり、4億円の業績予想内での着地を見込んでいます。
純利益に関してはコロナ税政、事業適応計画の認定に伴い大きな上振れが発生し、5億円の着地を見込んでいます。
佐久間 続いて、NewsPicks事業の未達の要因と対策について、内部要因と外部要因に分けてお話します。まず外部要因について。BtoC企業に対するインフレの影響、また弊社の広告事業の主な顧客であるスタートアップ事業の資金調達環境悪化の影響、これにより広告出稿の減少が発生したことが、外部要因と言えるかと思います。
内部要因は、有料課金事業における第2四半期のヒットコンテンツが不足した影響により、解約が新規会員数獲得を上回り、有料会員数が減少したことが挙げられます。
また広告事業の内部要因として、広告営業、広告制作ともに採用が遅れた影響により、体制作りが遅れてしまった。そして顧客単価が想定より低かった。
出版事業においては、前年レベルの大ヒット作品が出ていないこと、刊行数の減少が挙げられます。
これらに対応していくために、有料課金事業においてはYouTubeやTikTok等のNewsPicksの公式アカウントの登録者数は伸びておりますし、その新しい会員獲得チャネルを強化していきます。
また、ヒットコンテンツに依存しないような有料会員獲得ファネル、Wi-Fiモデルなどを事業開発的に構築してまいります。
広告事業における採用の問題は現在解消しています。トップセールスの高価格提案を型化し、顧客単価をしっかり引き上げていく取り組みを、今後も続けてまいります。
また広告商品ごとに、継続的にリピーターとして広告出稿いただけるような顧客層を特定し、マーケティングや営業活動に集中していく。SaaS事業において徹底しているABM(Account Based Marketing)をNewsPicksの広告事業においても徹底していきます。
出版事業においては、どうしても不確実性が大きい。そもそもの計画の作り方を変更し、来年以降、保守的な計画を策定し、その中でも利益を出せる体制を作っていきます。
長期経営戦略説明会において、「NewsPicks事業は2023年には黒字化していく」と宣言いたしました。その宣言通り、NewsPicks事業は来期黒字化を必達とします。そして、成長よりも収益性を向上させることを優先する経営を実行してまいります。

マテリアリティ及び2022年代方針の進捗

佐久間 続いてマテリアリティおよび2022年代方針の進捗についてお話します。マテリアリティはパーパス実現のため優先すべき、我々にとっての重要課題です。このページにおいて、7つのマテリアリティの進捗に関してお伝えしています。その中で今回は特に2つについてお伝えしたいと考えております。
佐久間 「誰もが経済を身近に感じられる社会」というマテリアリティについて、「NewsPicks for Kids」を夏にリリースしました。
紙面における体験ももちろん重要です。しかし紙面に閉じない、デザイン、プログラミング、アート等、親子で一緒に体験できる場を提供することで、新しいコミュニティの形成を目指し、NewsPicks for Kidsのユーザー数の拡大を目指したいと考えています。
佐久間 2つ目は、気候変動への対応についてです。我々はメディアプラットフォームとして、気候変動への対応を社会に広めていく責務を担っていると考えています。
SPEEDAにおいては「カーボンニュートラル素材」というトレンドレポート、「【実務家に聞く】TGFD開示、やってみて見えたこと」などの記事を公開しております(記事の閲覧にはSPEEDAへのログインが必要です)。
またNewsPicksにおいては断続的に気候変動に関するコンテンツを提供しています。例えば「地球極限GREENイノベーションジャーニー」というドキュメンタリーシリーズを公開しております。
今後もユーザベースグループでは、気候変動への対応を社会に広めていくようなコンテンツを、継続的に提供していきます。
佐久間 次に2022年大方針の進捗についてお話します。1つ目はSaaSの高成長事業への投資です。こちらは順調に進んでます。最大の投資は人材採用でして、既に2022年の採用枠をほぼ全て充足しています。
2つ目、SaaSの共通データへの投資。人事異動情報は、第2四半期決算説明会でお伝えした通り、リリースを完了し順調に情報を拡充しています。さらにセグメントデータ、KPIデータ等、他社から供給を受けにくいデータに関しては、UB Datatech内でデータを組成し、ユーザーにお届けする体制ができています。
3つ目のNewsPicksのマーケティングに投資し、成長の再加速を目指していく。こちらは先ほど申し上げた通り、NewsPicksの売上高が計画に達しないということを鑑みて、金額を大幅に縮小しております。
4つ目、SaaSとNewsPicksの融合、ユーザーIDの共通化を進めていくこと。この点は順調です。FORCASのユーザーIDをNewsPicks IDへと切り替えていくことを開始しています。
最後5つ目、NewsPicksをSaaSのマーケティングチャネルにしていく。この点に関しては、EventHub社との資本業務提携(プレスリリース)を実施したのでお伝えします。
佐久間 EventHub社についてはご存知の方も多いと思います。国内シェアNo.1のイベントマーケティングプラットフォームです。
EventHub社とユーザベースはかなり古い付き合いがあります。EventHub社と共に、大規模なオフラインのイベント、コロナ渦のオンライン展示会などに挑戦してきた過去がございます。
お互いに非常によく知っている企業で、EventHub社の「人と人を繋げるプラットフォームの力」と、ユーザベース、特にNewsPicks事業の「企画力、集客力」を合わせれば、デファクトのサービスが作れる。「日本でビジネスイベントと言えば、EventHubであり、NewsPicksだ」と言われる世界が作れると考えています。
佐久間 NewsPicksのイベントプロディース事業だけではなく、NewsPicks Stage.事業ではよりダイレクトな連携が実現できます。FORCASとの関連でも、イベントマーケティングは、ABMを実行する施策として王道です。
それを我々自身が結果として示し、成長してきました。なのでFORCASにおけるイベントマーケティング連携、ターゲティングにおけるインテントデータ等の提携もできる。NewsPicksのみならずユーザベースの多くの事業において、相乗効果をもたらせると考えています。
特に「誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」という文脈において、コンテンツの力だけではなかなか難しい。実際、人は人から影響を受け行動が変わる。そのためにはイベントの力が不可欠だと考えております。パーパスの実現のために、この資本業務提携は非常に大きいと考えています。
続いて四半期業績に関して、CFOの千葉からお伝えします。

2022年12月期 第3四半期実績 - 連結業績ハイライト

千葉 CFOの千葉です。私から四半期業績についてご説明いたします。まず連結業績のハイライトになります。ARRは前年比23%増の143.2億円。売上高は前年比18%増の約45億円。EBITDAは1.4億円で着地しています。売上成長率に関しましては、第2四半期を上回っての着地となりました。また、第2四半期の決算説明会でご説明した通り、当初はEBITDA赤字を想定していましたが、コスト削減の結果、黒字での着地となりました。
事業別に関しましては、SaaS事業がARR、売上ともに30%にかなり肉薄した水準での着地となっております。EBITDAに関しては、前四半期比ほぼ同水準で着地しています。
一方でNewsPicks事業は、前年比ほぼ売上・ARRともに横ばいで着地しておりまして、コスト削減と下期に実施するテレビCMの放映タイミングのずれによって、当初の赤字幅よりは縮小した形での1.8億円の赤字で着地しております。
千葉 続いてARRの推移のグラフになります。プロダクト別の成長率およびARRの実額に関してはご覧の通りになりますが、引き続きFORCAS、AlphaDrive/NewsPicks、INITIALが力強い高成長を果たしていることがお分かりいただけると思います。
千葉 次に業績予想についての進捗です。今回修正をさせていただきましたので、修正後の業績予想に対する進捗をこの通り記載しています。佐久間からも説明がありましたが、今回下方修正をする形になってしまい、非常に申し訳なく思っています。
修正した計画を上回る実績を達成し、2022年12月期を終えたいと思っています。追って第4四半期の決算説明会でご説明できればと思っています。
千葉 続いて連結売上高の四半期の推移になります。売上高に関しては四半期で過去最高の売上約45億円を達成することになりました。前年比で申し上げると、18%の増収となっています。
千葉 続いて連結のEBITDAになります。第2四半期時点では、第3四半期がEBITDAのボトムになると想定をしていましたが、売上が想定を下回る中で、投資規律からコストコントロールを実行したことによって、無事黒字での着地となっています。セグメントの内訳に関してはご覧の通りになります。続いてセグメント別のご説明をしたいと思います。

SaaS事業ハイライト

千葉 まずSaaS事業からです。繰り返しになりますが、SaaS事業は複数のプロダクトからなっています。そのため、ご覧の通り「ポートフォリオマネジメントポリシー」を定めておりまして、売上成長率を重視するフェーズと、売上成長率と収益性のバランスを重視するフェーズに分けて管理しています。実際のプロダクトの位置付けに関しては、半分から下のプロットをご参考いただければと思います。
千葉 次にSaaS事業のハイライトです。SaaS事業としては、ARR、売上ともに30%成長を果たしたいと申し上げてきましたが、29%とかなり肉薄したところまで成長しています。第3四半期になって、ようやくこの水準まで成長を果たしてきたと感じています。
また、EBITDAはEBITDAマージン10.6%の3.4億円という形で着地しています。前ページでご覧いただいた通り、ポートフォリオマネジメントポリシーに沿った形で運営をしていますので、高成長フェーズにあるFORCAS・AlphaDrive/NewsPicksに関しては、売上の成長率を重視して投資を行っています。
一方で収益貢献を既に始めているINITIALが、売上成長率、EBITDAともに貢献をしてくれていまして、ベースとなっているSPEEDAが安定的な売上成長と高収益な構造になっているのがご覧いただけるかと思います。
千葉 続いて、SaaS事業のみのARR推移になります。
プロダクト別に関してはご覧の通りになります。続いてプロダクト別の売上およびその次ページにて、EBITDAの内訳を開示していますので、ご確認いただければと思います。
千葉 SaaS事業としては最後ですが、前四半期から開示しておりますSaaS事業全体の顧客社数と顧客単価の推移になります。
当該第3四半期においては社数が107社増加し、顧客単価も順調に12%増加しております。また我々は、SaaS事業のクロスセルを強化していきたいと考えていますので、今回でいうと2プロダクト利用者比率が1ポイント増加している点は、非常に順調であると認識しています。
これからも複数のプロダクトをご利用いただける会社を、1社でも多く増やしていきたいと考えています。なおAppendixにSPEEDAのみの同じ指標を開示してますので比較感とともにご覧いただければと思います。
Appendix:SPEEDA 顧客者数と顧客単価

NewsPicks事業ハイライト

千葉 次にNewsPicks事業についてご説明します。まずハイライトですが、売上は前年同期比でほぼ横ばい。EBITDAに関しては前四半期の赤字幅より縮小した結果となります。
売上が思うように伸びない中で、投資規律によってコスト削減を行ったことにより、利益としては赤字幅を縮小する形で着地しています。
千葉 続いて売上の内訳ごとの状況をグラフとしてご説明したのがこのスライドからです。まずは有料課金売上におけるARRの推移について。第2四半期においては、前四半期でマイナスになってしまいました。
第3四半期に関しては、第2四半期比でしっかり伸ばすことができております。ただ、2021年度の第3四半期に比べると、プラス3%という状態ですので、まだ課題は多く抱えている状況かなと考えています。
千葉 続いて売上の内訳です。広告売上に関しては前年同期比で増加していますが、当初想定していた金額には届かず、想定を下回る結果となっています。佐久間からご説明した今期の売上予想が下回っている主な要因の一つです。
外部要因・内部要因をご説明いたしましたが、内部要因に関しては既に対応できていると考えていますし、来期NewsPicks事業において黒字化を果たすための準備を、着実に講じていきたいと考えています。
その他の売上は、主に出版売上の想定以上の落ち込みが影響しているとご理解いただければと思います。売上の季節性に関しては例年通りだと考えていますので、後ほどご説明しますが、第4四半期は第3四半期に比べて強い売上を期待できるのではないかと考えています。
千葉 続いてNewsPicks事業のEBITDAに関してです。当社はSaaS事業のみならず全社において、売上成長率とEBITDAマージンをバランスを持って管理・経営をしています。
つまり売上において成長が一定果たせない場合、しっかり収益を改善するというガバナンスが利く経営になっていますので、当初の売上を下回った限りは投資を抑え、投資規律を働かせたことによって、EBITDAの赤字幅を縮小するということをやってきています。
その結果、連結ベースでは黒字で着地をしておりまして、最も影響が出たのがNewsPicks事業の赤字幅の縮小とご理解いただければと思います。
また、テレビCMの放映が第4四半期にずれ込んだこともありまして、その影響も一定織り込まれております。

第4半期の見通しと2022年12月期 第3四半期Q&A

千葉 最後に、第4四半期の見通しと、第3四半期および公開買い付けに関するQ&Aを我々の方で作成させていただいていますので、そちらについてご説明いたします。
業績予想の修正を行いましたので、第3四半期までの累計を差し引いていただければ、概ね我々が第4四半期をどの程度読んでいるかはご想像がつくのではないかと思います。
SaaS事業に関しては引き続き堅調に推移することを見込んでいますが、今期採用したメンバーの育成の遅れが若干ございまして、四半期単位で見たときの売上成長率は若干低下を見込んでおります。一方で収益性に関しては、FORCAS SalesというFORCASの新プロダクト込みのEBITDAにおいても黒字化を見込んでおりますし、この第3四半期で一時的に低下をしたINITIAL事業のEBITDAマージンの回復も見込んでいます。ですので、基本的にはここに記載の通り順調な着地を見込んでいる状況になっています。
また、NewsPicksの広告売上に関しては、四半期単位で過去最高の売上を達成できるのではないかということを織り込んで、今回公表させていただきました業績予想の修正を行った次第になります。
千葉 続いて第3四半期の業績および、時期的に来期の業績、中長期経営計画に対する進捗等々、全て織り交ぜた、我々が想定しているFAQをこちらの通りご用意させていただいています。また、公開買付の公表も同時になりましたので、そちらに関する想定FAQも記載しています。
以上で私からのご説明を終了いたします。続いて質疑応答に移りたいと思います。

質疑応答

※質問の内容は、事業・サービス名を除き、原則Sli.doに記載いただいたものをそのまま転記しております。
Q1. カーライルのTOBにあたり、今後の経営体制について教えてください
佐久間 プレスリリース(適時開示)に一部記載していますが、今回の公開買い付けが成功したとして、経営体制の変更は想定しておりません。また特定事業の売却等の事業ポートフォリオの変更も考えておりません。
Q2-1. 1,500円以上で買い付けた投資家の立場としては、現在のマーケットのボトムに近いタイミングでディールがあることについては不満に感じています。なぜ、このタイミングなのでしょうか?
Q2-2. 上場後短期間、かつTOB価格はプレミアム有とはいえ、昨年までに投資したほぼ全ての投資家が損をする水準でのTOB。経営陣として既存投資家をどう見ているのか? また、株価低迷が続く中で、貴社の社外役員である平野氏が以前所属していたカーライルがTOBを行うのはコンプライアンス上問題はないのか?
佐久間 まず平野さん(平野正雄氏)の関与に関しては、特別委員会から外れており、また取締役会決議からも外れているので、この点問題はございません。株価も、今回の買付価格に関しては、我々も公開買い付け価格こそが既存株主の方にとって一番重要であると考え、特別委員会を通じてカーライルと何度も交渉し、価格を引き上げてまいりました。そして1,500円という価格であれば適切であろうという形で最終的に判断しました。
ただ、もちろん、それ以上の価格で弊社の株式を買っていただいた株主の方がいらっしゃることは存じ上げております。そのような方々に関しては非常に申し訳ないと思っております。
Q3-1. 今回の発表を経て、社内の人材流出についてはどのように考えられていますか?
Q3-2. 優秀人材の獲得競争が激化する中、非上場化することに伴う採用力の低下やリテンション面についてはどう見ているのか?
佐久間 何よりも、今回の意思決定に関して社内のメンバーとしっかり共有して、同じ未来を見てやっていくことだと考えています。なので、まずこの決算発表の場の後にも社内のコミュニケーションの場を設けておりますし、そこで我々がしっかり話していくと。そして中期的にはカーライルの皆さんと共に、みんながワクワクするような未来を一緒に作っていくこと。これに尽きると考えています。
人材採用に関しては、我々にはNewsPicksがあるので、大きく会社としての認知度が低下することはないと考えています。また昨今は、我々の採用の競合としてもスタートアップの会社が非常に多いんですね。我々が非上場化することでストックインセンティブのようなものも出しやすくなるので、むしろ採用に関してはプラスの効果も期待できる。我々の意思として、プラスの効果をつくっていく、そう考えています。
稲垣 先ほど公表させていただいて、今この決算説明会に臨ませていただいていて、メンバーたちとはこれからの対話になりますので、そこで1つひとつ会話していきたいと思っています。個人の感じ方はいろいろあるという前提で、ポジティブに感じる面もあれば、当然ネガティブに感じる面もあると思いますので、そこに1つずつしっかり対応していくということかなと思っています。
私の肌感としては、トータルで非常にネガティブに転ぶかというと、そうは思ってはいません。メンバーの多くは私たちの根源的価値というか、パーパスに向かってしっかりと事業を作っていくということに惹かれてユーザベースに入社してくれています。
Q4. 超長期で貴社のパーパスを実現していく上で、今回の非上場化はどういう意味付けをされているのでしょうか?。上場株式投資家として、長期の成長可能性が高く、株主基盤も安定している貴社のような会社が、非上場化を選好されることに危機感を感じています。
佐久間 難しい質問ですが、我々としてまず当然ながら、先ほどからお話ししているように、公開買付価格が推奨できる水準であるというのが非常に重要。その前提で、我々のパーパスを実現していくために、今回下方修正も発表しましたが、事業に苦しんでいる状態であることは確かです。特にNewsPicksですね。
SaaSとNewsPicksを融合するというのはなかなか簡単なことではなくて、そのようなことができている会社はグローバルにもない。その可能性を信じてやっていく過程で、市場に、株主の皆さんに短期的な利益や売上をコミットしながらやっていくということは非常に難しい。
そしてグローバルにユーザー価値を拡大していくためにも、我々の経営のメンバーの中に今、その知見が豊富にあり、確度が高い戦略を作り、執行できるという者もいない。我々自身が試行錯誤を経て成長するのは当然として、パートナーが必要だとも考えています。なので、それらの総合的な条件から、今回非上場化し、カーライルをパートナーとして再出発したいと考えています。
稲垣 まずQuartzの問題から端を発して、経営体制の変更をし、事業の見直しをして、という中で、まだ株価を回復することができてませんでした。さらに市況の影響も受けて、今、IT銘柄はかなり株価が下がってる状況ですが、その中でもより私たちはスタートのところから下がってしまった影響から、かなり低い株価になってしまっているのが実態かと思います。
この株価を前提として、しっかりと事業運営をしていくことが本来王道であることは重々理解をしています。それが理想でもあると思っていますが、今の状態が非常に危うい状態というのも事実であると思っています。
詳細は申し上げられない部分もありますが、株価が低いという状態にはいろいろなリスクの可能性が存在していますし、その中で私たちが未来を見据えて、日本発のグローバルプラットフォームを作ってこうとしたときに、この株価ではどうしても手が縮こまってしまい、リスクを取れません。
私たちは何のために事業をしているのかというと、自分たちが掲げている、当初はミッション、今はパーパスをしっかりと実現していくこと、しっかり前を向いて事業をやっていくことが、常に市場の皆様にお約束し続けていることかなと思ってます。それを前提に、今のこの市況感で何を最善手として打つのかを考えたときに、今回非公開化という手を打つことがベストではないかと考えました。ユーザー・社会への提供価値向上に対してベストな形で経営をしていく、これが一番の判断基準になります。
Q5. 佐久間さん稲垣さんはTOBに応募するのでしょうか?
佐久間 はい、応募します。
稲垣 取締役会に賛同しているのは、会社の顔としても個人の顔としても、ということになりますので、応募する予定でおります。
Q6-1. 御社の従業員向け持株会などでの取得単価は1,500円を超える方もいると思いますが、インセンティブや、モチベーションの観点からどのように説明をされているのでしょうか?
Q6-2. 経営陣の株式保有比率はどうなるのでしょうか。カーライルが全株の獲得を目指すのか、御社取締役の保有分やストックオプションはどうなるのでしょうか。道半ばでマネジメントがイグジットするのではないかと感じました。
佐久間 1点目から回答させていただきます。現実今、ユーザベースの株価が大きく下がっている。当然それは我々の責任なんですが、もうその時点で取得価格が1,500円を超えているような従業員の一部の方に対しては、モチベーションの観点で影響がある可能性はあった。そもそもそういう状態にあったと認識しています。
なので、1,500円というのが十分ではないと感じられる方もいるかもしれませんが、この価格で一旦リセットして、また新たな形でモチベーションを持っていただくような設計をしっかりしていきたいと考えています。
2点目の経営の株式保有比率については、これはどうなるかはわかりません。カーライルの公開買い付けは3分の2以上の取得が条件になっています。ただ、私がユーザベースからエグジットすることは全く考えていないです。カーライルの経営方針が許せば、非上場化した後の会社にしっかり出資して、リスクを取って経営を続けていきたいと考えていますし、それが今の私のスタンスです。
稲垣 情報としてまだ申し上げられない部分です。カーライルとも今後話さなければなりません。ただユーザベースという会社として全てのメンバーたちに対して、やりがいと報酬をベストな形で提供できる会社を目指していくことは、何も変わらず方針として掲げていきたいと思っています。その方針自体はカーライルも認識してくれており、その上でも一緒にやりたいと言ってくれていますので、そこに対して全力で協議して、しっかりと対応していくことを考えています。
当然ながら私自身も今回こういった意思決定をする中で、中途半端に何かを投げ出すことは絶対しないと腹をくくっていますし、結果的にこの意思決定が全ての方にとって、良かったと言っていただけるようにすることが責務だと思っています。
今回関わってくださったステークホルダーの皆様に、今後何らかの形で良かったと言っていただけるように、お返しができるよう、全力を尽くす所存です。
Q7. Newpicks 事業に対して、コングロマリットディスカウントや売却を提案されることもあったと思いますが、カーライルとはどのようなディスカッションが進みましたでしょうか?
佐久間 SaaSとNewsPicksを融合する、そして人の知見を循環させる、そういうことを我々は長期的に実現していくんだという戦略に全面的に賛同いただいていますので、売却を提案されるようなことは全くありませんでした。
千葉 今回カーライルを選定した理由をスライドの中にも記載をさせていただいています。パーパスを共に実現するパートナーとしての趣旨には、現時点の事業をそのまま残して、かつ、その価値を上げるところに彼らに賛同してもらった経緯がありますので、そのようにご理解いただければと思っています。
Q8. 今回のTOBは貴社からのアプローチなのか、カーライル側からなのかどちらなのでしょうか?
千葉 今回すごく長いプレスリリース(適時開示)を出しておりますが、その点詳細に時系列を追って記載をしていますので、そちらをご確認いただければと思います。
当初は我々の資本政策ですとか、ガバナンスのあり方という形で、まず我々から接点を持ち、最終的には彼らから初期的な提案を受け、具体的に検討を進めたというような流れの時系列ですとか、交渉の内容を詳細にプレスリリース(適時開示)に記載しています。量が多いですが、ご確認いただければと思っています。
Q9. 御社におかれては、未上場の時期から業績達成に対して強いこだわりを持った経営をされてきたと思いますが、その上で、今期の未達が発生してしまった経営計画体制や経営的な課題はどこにあったと捉えられているでしょうか?
佐久間 まず今回の未達の主なところはNewsPicksなので、NewsPicksに関してお話しますと、もちろんお話したように、外部要因・内部要因いろいろあるんですけども。NewsPicksがこれまで大きな成長を達成してきたのは個の才能、意思の力ということは、非常に大きかったなと考えています。
それにより、いろいろなビジネスを楽しむ方を惹きつけ、大きな成長を実現してきた。ただ、それにより、NewsPicks全体の組織体制として、かなりサイロ化するというか、いろいろな部門横断的なユーザーを起点にした意思決定がやりにくいというような体制にあったことは、私は事実だと思っています。
それを今、ユーザー起点に組織体制も変え、その意思決定がスピーディーにできていく事業を作っていく過程にある。内部要因、外部要因といろいろお話しましたが、その根底にあることとしては、NewsPicksの成長フェーズの転換というものは大きいと考えています。
稲垣 そうですね。答えとしては佐久間の話に近いんですけれども。これまでユーザーベースでは、自由主義・異能は才能という言葉を掲げ、個の才能がよりイキイキと生きる形での経営というものを推進してきています。それによって多くの事業が生み出されていますし、多くの経営者も生まれていまして、非常に可能性を持った企業であるというところを変わらず自負している部分があります。
ただ、それが今回200億円に到達するぐらいの水準になってきたときに、それだけではいけなかったと思っております。入ってくるメンバーたちが育つような仕組みですとか、多くの事業に対して一定以上の仕組み化された、生産的な動きが取れることができたのかというとできておらず、全て属人化されたいわゆる自由意思の方に振りすぎてしまった、というところが大きな反省としてあります。
この部分はいろいろな挑戦をする中での、個人の自由を尊重したい、想いを尊重したいというところが先行しすぎたと、本当に経営の判断としての失敗があったと思っています。
ただ、これはその部分が全て失敗だったということではなく、今ある良さと同時に仕組み化・システム化が構築されれば、新しいユーザベースの経営体制をつくることができ、両面での良さを活かせる稀有な企業になっていけると思っています。
その構築を今期本来やり切るべきでしたが、それが追いつかなかったということが本当に恥ずべきことであると思っていますし、それを来期にかけて経営体制としてしっかり作っていくことにコミットしていければと思っております。
千葉 私からもCFOとしての観点でご説明できればと思います。そもそもの計画を策定するときにどれぐらいのリスクを織り込むべきか、というところに甘さがあったんじゃないかなというのが一点目です。当然、売上は相手がいる話ですので、一定のリスクを織り込んでディスカウントして計画を皆様に開示すべきところ、そこのディスカウントのパーセントがやはり誤っていたんじゃないかなというのが、結果としての一つ目のポイントになります。
二つ目は、日々進捗を確認している中で、ちょっとしたKPIのズレですとか、月ズレのコストでしたり、細かいところを拾っていなければならないのが、私が担当しているファイナンス部門の責任なんですけれども、そこが少しずつずれてしまって、最後売上として下限値に到達できないというアラートが鳴ったのがやはり遅かったんじゃないかなと思っています。
より早いタイミングでアラートを出すことができれば、対策も講じられたと考えていますので、この辺の経営基盤、数値管理のところのノウハウに関しては、今回パートナーとなる可能性のあるカーライルに期待してる部分でもありますし、この経営システムについてはまだまだ我々は磨いていかなければいけないレベルにあると感じていますので、ここが一つの要因だったと私としては考えているところです。
Q10. NewsPicksの利用ユーザー自体を増やすための広告投資は縮小予定ですか?
佐久間 今期については資料の中でご説明差し上げた通り、売上未達なので新規獲得の方の予算も大幅に縮小しております。来期以降、当然広告投資は継続していきます。ただ、申し上げた通り、まず黒字化していく。その収益性の確立というものを第一優先に経営していきます。
Q11. グローバル事業の拡大とのことですが、現時点ではどのような拡大戦略を考えていますでしょうか。
佐久間 ユーザベースの海外事業というのは、実は歴史が非常に長い。2013年からやってるのでもう10年ぐらいになるんですね。私も同時期にユーザベースに入ってやっています。その中で、過去最高に今、海外事業に関して芽が出てきている、解像度が高い状態です。これをやれば伸びるんじゃないかという芽が、中国事業や米国事業で出てきています。
しかし、なかなか今の我々の利益的な体力だと、そこに対して大きな投資をしていくことができない。なので、何よりもまず国内事業を成長させ、大きな利益を出せる体質を作り、その芽にしっかり投資できるようにしていきたいと考えています。
Q12. TOBによって生じる不利益はどのようなものを想定していますか?
佐久間 まず、しっかりコミュニケーションすることだと思います。従業員についても、我々のパートナー会社にとっても、不安を感じることがあると思いますので。我々として経営体制は変わらない、事業ポートフォリオも変わらない。サービスについては、ユーザーの皆様に価値を届けるために、変わらずしっかり運営していくということを、しっかりコミュニケーションし、不利益が生じないようにしていきたいと考えています。
稲垣 これからしっかり、また話していかなければいけないという前提ではありますが、今回はほとんど大きな不利益はないかなと思っています。一度会社として潜り、利益体制をしっかりと健全化し、その上でグローバルに挑戦していくということは、戦略としてアラインできるんじゃないかと思ってます。
経営体制の変更もなく、事業ポートフォリオも変更もなく、今お伝えした戦略をしっかりとやっていけることさえできれば、どこにも損させずに、お互いがしっかりといい形でできるんじゃないかなと思っています。
このTOBという形態をとることに対するステークホルダーの皆様への影響は、先ほど申し上げた通りの形で、この決断が良かったと皆様に対してしっかりと証明できるように尽力していければと思っております。
千葉 ご質問は以上になります。多くのご質問をいただきありがとうございました。
司会 以上をもちまして、株式会社ユーザベース 2022年第3四半期決算説明会を終了いたします。皆様、本日はお忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございました。
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