[キーウ 3日 ロイター] - ウクライナ南部ヘルソン州を実効支配するロシア当局者は3日、ロシア軍がドニエプル川西岸から撤退する可能性が高いと述べた。実際に撤退が行われればロシアにとっては大きな後退で、侵攻の転換点になる。

ただ、ウクライナ側や欧米のアナリストはロシアの撤退に慎重な見方を示しており、撤退を装ったわなの可能性に警戒している。

ヘルソン地域のロシア文民高官、キリル・ストレムソフ氏はロシアメディアとのインタビューで「われわれの部隊や兵士は左岸(東)へ去るだろう」と述べた。

ロシアはこれまで、プーチン大統領が9月末にロシアへの「併合」を宣言した同地域からの撤退計画を強く否定していた。

同地域には2月の侵攻開始後にロシアが無傷で占領した主要都市ヘルソン市がある。また、ドニエプル川には巨大なダムもあり、ロシアが2014年に一方的に占領したクリミア半島への灌漑用水を供給している。

一方、ウクライナ南部軍司令部の報道官は、ロシアのわなである可能性があるとし、「敵は占領地から立ち退くと信じ込ませようとしているが、われわれはヘルソン方面でも戦闘を続けている」と述べた。

米国のオースティン国防長官は3日、ウクライナ軍はロシア軍からヘルソン市を奪還できるとの見方を示した。