(ブルームバーグ): 暗号資産(仮想通貨)交換業者などでつくる自主規制団体、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が、交換業者が新たな暗号資産を取り扱う際の事前審査を原則撤廃し、事後モニタリングへの移行を決めたことが19日までに、分かった。12月中にも新たなルールを施行する見込み。

ブルームバーグが入手した資料によると、一定の要件を満たせば、従来行ってきた事前審査を不要とし、上場後にモニタリングを行う体制を導入。企業が新しい通貨を上場しやすい仕組みを整える。

対象となるのは、資金調達を目的とするイニシャル・コイン・オファリング(ICO)やイニシャル・エクスチェンジング・オファリング(IEO)の暗号資産および国内初の上場となる暗号資産を除く全ての銘柄。同協会は事前審査を行わない代わりに、各銘柄について不適切な状況のないことをモニタリングする。不適切な銘柄が見つかった場合、業者に対し確認を行うほか、必要に応じて取り扱いの停止・ 廃止を要請する。

一方、各交換業者は上場に際し事前の報告義務は残る。また上場後に3カ月に一度のリポート作成と同協会への提出が求められるほか、一連の手続きにおいては1件につき10万円を同協会に支払う必要がある。

岸田政権が進める政策「新しい資本主義」の実行計画では、交換業者が取り扱う暗号資産を新たに追加する際、認定自主規制団体の事前審査に長期間を要しているとし、審査基準の緩和を行うことが掲げられ、同協会も事前審査の簡素化を進めてきた。

今年3月、JVCEAは3社以上の会員企業による取り扱いなど一定の条件を満たした暗号資産について、事前審査なしで取り扱いを可能にする「グリーンリスト」制度の導入を発表。同リストには19日時点で20種類の暗号資産が含まれているが、暗号資産の種類は数千以上に上るともいわれている。 

国内では、世界最大の暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するバイナンスが日本市場への参入に向けて金融庁が認める暗号資産交換業者への登録の申請を検討しているほか、日本人創業者の渡辺創太氏が運営するStake Technologiesのアスターが国内で上場するなど動きが活発化している。金融庁によると、国内の暗号資産交換業者は9月末時点で31社に上る。

JVCEA副会長の小田玄紀氏はブルームバーグの取材に対し、資料の存在を確認し、今回の取り組みが日本の暗号資産市場の活性化に寄与すればと考えていると話した。

その上で、個人的な考えと前置きした上で国内初の暗号審査についても来年度くらいには、一定の条件を満たせば事前審査なく上場が可能となればと考えていると説明。同様にICO、IEO銘柄についても期限は明示できないが、原則として事前審査なく上場ができるようにしたいとの意向を示した。

(最終段落を追加しました)

©2022 Bloomberg L.P.