[ワシントン 12日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は12日、米ワシントンで開催された国際金融協会(IIF)の会合で講演し、投機的動きが主導する急速で一方的な円の動きは、企業の事業計画策定を困難にし、経済にとってマイナスとの認識を示した。

黒田総裁は、円安はマクロ経済全体には良い影響を与えるかもしれないが、円安で苦しんでいる分野もあると指摘し、為替変動がさまざまな分野を含む経済に及ぼす影響を注意深く見守り分析していく必要があると述べた。

また、日銀が超低金利を維持することを改めて表明し、景気はまだパンデミック(世界的大流行)前の水準を回復しておらず、インフレ率は欧米諸国と比較して控えめと主張。インフレ率が今後数年で2%に向かって安定的に上昇することを期待しているとしながらも、日銀は景気刺激策の早急な撤回に慎重でなければならないとした。

「賃金は確かに上昇しているが、持続的かつ安定的に2%のインフレ率を保証するには不十分」とし、「2年後、あるいは1年後に2%のインフレ率を達成できるとの見通しを受けて今すぐ金融政策を変えてもいいという結論に単純に飛びつくことはできない。それは正しくない」とした。