[シカゴ 10日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンス総裁は10日、政策金利を3月までに4.5%近辺まで引き上げ、その後はインフレへの影響を評価しサプライチェーン(供給網)が回復する時間を確保するために同水準を維持するというのが連邦準備理事会(FRB)の力強いコンセンサスだと述べた。

全米企業エコノミスト協会(NABE)での講演で、この計画が覆されるには、今後入手されるデータが現在の予測を根本から「揺さぶる」必要があると指摘。適切な政策に関するFRB当局者の見解に「大きな相違はない」とし、「3月までに4.5%程度のフェデラル・ファンド(FF)金利を目指すことになる。今後2カ月間によほど大きな変化がない限り、データがどうあれかなりの制約をかけるだろう」とした。

また「リセッション(景気後退)を回避しながら比較的迅速にインフレを低下させることができるだろう」と指摘。経済における「異常な行動」によって、FRBが「合理的な制約的政策への道筋を慎重かつ賢明に進めば、失業率を大きく上昇させることなくインフレを抑制することが可能だ」とした。

また、FRBのコンセンサス通り、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標が「来年初めに4.5%を少し上回り、その後しばらくはこの水準で推移する」との見通しを示した。

雇用市場とサプライチェーン(供給網)の「異常な相互作用」により、「労働市場のストレスは、通常考えられるケースよりもインフレに大きく影響している」と言及。金利上昇により需要が抑制され、労働市場の「熱」が収まるのと同様に、失業率の著しい上昇という形で「経済に過度のスラック(需給の緩み)を生じさせることなく」インフレ率が低下するはずとした。

FRBの現在の予測では、失業率は9月時点の3.5%から来年末には4.4%に上昇する一方、インフレ率は8月の6.2%から2.8%に低下する見通し。

エバンス総裁はこれを「かなり見栄えの良いソフトランディング(軟着陸)」とし、「足元と比べれば、労働市場が明らかに軟化していることが示されているが、リセッションのような数字でないことは確かだ」と語った。