ノーベル経済学賞にバーナンキ元FRB議長ら 日本の初受賞ならず
コメント
注目のコメント
バーナンキは元FRBの議長で実務家というイメージが強いかもしれませんが、アカデミックにおいてもマクロ経済学の分野(とりわけ金融危機や恐慌論)で相当な実績があります。
ローマー※1が書いた一昔前の大学院レベルのマクロ経済学の教科書「Advanced Macro Economics」のreference※2でバーンナンキは13本もの論文が引用されています。しかもそのうち経済学の専門雑誌の最高峰American Economic Reviewが4本も引用されています。
※1ちなみにノーベル賞を受賞したポール=ローマーとは別のローマーです。
※2参考文献のページ、そのページだけで37ページもある。
これはどのくらい凄いのでしょうか。他の経済学者が本書で引用されている論文は以下の通りです。
・サミュエルソン(1970年ノーベル経済学賞受賞。新古典派総合を完成させる。)…3本
・ミルトン・フリードマン(1976年ノーベル経済学賞受賞。シカゴ学派の総帥)…8本
・トービン(1981年ノーベル経済学賞受賞。投資関数におけるトービンのQはあまりにも有名。最後のケインジアン。)…4本
・ソロー(1987年ノーベル経済学賞受賞。成長論の大家。マクロ経済学を学ぶ人が最初の大きな壁にぶち当たるのはおそらくソローモデル)…6本
・ルーカス(1995年ノーベル経済学賞受賞。ルーカス批判で有名。合理的期待学派)…12本
・スティグリッツ(2001年ノーベル経済学賞受賞。情報の非対称性で受賞。)
・プレスコット・キッドランド(2004年ノーベル経済学賞受賞。動学的非整合性は金融政策の研究に大きな影響を与える。)…3本
・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞。ケインズの流動性の罠は彼が復活させた。)…3本
一昔前の大学院レベルのマクロ経済学の教科書において、バーナンキはこれらノーベル経済学賞受賞者よりも多くの論文が引用されています。これがバーナンキのアカデミックでの実績になります。ベン・バーナンキ氏のノーベル賞受賞がとうとう来ましたね
マクロ経済学分野では久しぶりです
リーマンショック前にグリーンスパン氏の後任でFRB議長に就任し、リーマンショックとその後の世界金融危機を乗り越える施策を主導しました(その前はプリンストン大学の経済学部長で、当時の常識的にその抜擢には驚かされました。学部にはクルーグマン氏も在籍していました)
ニューケインジアンの中心的な人物であり、日本語で読める論集に『リフレと金融政策』(邦題)があります
物価をめぐりマクロ経済学は大きな試練を迎えています、この受賞がマクロ経済学の重要性を再認識させ、今後の経済政策の注目度を高めて、より世の中のためになる施策を皆で考えられる機会になるといいですね
追記:反応に驚き見直して少し誤記を訂正しました、ありがとうございますいい機会なので、岸田政権は安倍政権のときのように、今回のバーナンキ氏に加えて、歴代受賞者のクルーグマン、スティグリッツ、シムズ各氏から統合政府についてレクチャーを受ける機会を作ったほうがいいでしょう。