[ニューヨーク/ロンドン 29日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、振れの激しい展開となる中、英ポンドが上昇。イングランド銀行(英中央銀行)が前日に続き、市場安定化に向け長期国債の買い入れを実施したことが支えとなった。

ポンドは1日としては2020年3月以来の大幅な上昇率を記録。終盤の取引では1.8%高の1.1076ドルで推移した。ポンドは週初に過去最安値となる1.0327ドルを付けた後、対ドルで7%超値上がりしている。

英中銀は28日、650億ポンド(約694億ドル)の長期国債の一時買い入れを開始すると発表。28日から10月14日まで実施し、29日には残存20年超の国債を14億1500万ポンド(15億5000万ドル)買い入れた。

トラス英首相が金融市場の混乱の原因となっている政府の経済対策について、適切な措置であり、経済成長を促すため「議論を呼ぶ」措置を積極的に講じると表明したことを受け、ポンドは下落する場面もあった。

BMOキャピタル・マーケッツの為替戦略グローバル主任グレッグ・アンダーソン氏は、英中銀が市場の混乱に対応する「意欲を明示している」としつつも、英中銀の長期債買入策に支えられたポンド上昇は持続可能ではないと指摘した。

さらに、1ポンド=1.10ドルの水準でポンドの売りを出す考えを示し、ポンドは1.05ドルまで下落する可能性があると予想した。しかし、ポンドの対ドルでのパリティ割れは想定していないと述べた。

主要通貨に対するドル指数は0.4%安の112.148。

ユーロ/ドルは0.7%高の0.9804ドル。

欧州委員会が29日発表した9月のユーロ圏景況感指数は急低下し、予想を下回った。企業・消費者の景況感が悪化。インフレ期待も上昇した。

一方、9月のドイツ消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比10.9%上昇と、1996年の調査開始以降で最高となり、欧州中央銀行(ECB)が次回会合で0.75%ポイントの追加利上げを実施するという観測が強まっている。

ドル/円は0.2%高の144.355円。鈴木俊一財務相は29日、投機的な動きを背景に急激に為替が変動が変動した場合は落ち着かせる対応が必要になると述べ、投機筋の動きをけん制した。

人民元はオフショア取引で約1%急伸し1ドル=7.0894元。中国人民銀行(中央銀行)が人民元の下落を食い止めるため、主要な国有銀行に対しオフショア市場で元を買ってドルを売る準備をするよう指示したというロイターの報道が材料視された。

ドル/円 NY終値 144.45/144.48

始値 144.65

高値 144.77

安値 144.27

ユーロ/ドル NY終値 0.9814/0.9818

始値 0.9713

高値 0.9815

安値 0.9684