[モスクワ/ブリュッセル 29日 ロイター] - ロシアと欧州を結ぶ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」2本が損傷し、ガス漏れが発生した問題で、ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日、背後に国家による「テロ行為」がある可能性があるとの見解を示した。

ペスコフ報道官は「このようなテロ行為が国家の関与なしに起こるとはきわめて考えにくい」とし、「国家レベルのテロ行為のように見える」と述べた。

また、ザハロワ外務省報道官は記者会見で、ノルドストリームが永久に使用できなくなれば米国は液化天然ガス(LNG)の販売を拡大することができると述べ、パイプラインの損傷により米国が利益を得る立場にあるとの見解を示した。

損傷が発生した際、「ノルドストリーム」と「ノルドストリーム2」は共に稼働中ではなかったが、大量のガスが中に残っていた。ドイツ、デンマーク、スウェーデンは27日、破壊された可能性に言及したが、不明な点が多く、欧州は原因究明を急いでいる。

ザハロワ報道官は、バイデン米大統領が今年2月にロシアがウクライナに侵攻すれば「ノルドストリーム2はもはやなくなる」と述べたことに関連し、米国は「自ら説明する」必要があると述べた。

米CNNは複数の情報筋の話として、ノルドストリームの損傷現場に近い海域でロシア海軍の船舶と潜水艦を欧州の安全保障当局が確認したと報道。欧州連合(EU)当局者は、ノルドストリーム損傷でウクライナを巡る紛争が本質的に変わったとの見方を示している。