(ブルームバーグ): ロシア産ガスを欧州に供給する主力パイプライン「ノルドストリーム」で破壊工作が疑われる損傷が見つかったことを受け、欧州各国政府や企業はエネルギー資産の安全強化に動いた。この損傷の調査にはドイツ海軍が動員された。

欧州首脳らは、ノルドストリームの3カ所でほぼ同時に発生した爆発は故意によるものだとの見方で一致している。ポーランドのモラウィエツキ首相は「破壊工作」の公算が大きいとしてロシアを非難した。

ノルドストリームの稼働停止は「破壊工作」-欧州委員長

ドイツ内務省の報道官によれば、同国のエネルギーインフラは全般的に安全保障上の脅威にされされている。また政府報道官は、ノルドストリームのガス漏れが自然現象の結果であることを示す証拠は一切なく、原因の調査にはパイプラインを空にする必要があると述べた。

ノルドストリームの損傷についてEU加盟国は30日にブリュッセルでエネルギー担当相会合を開き、協議する。欧州委員会のレインデルス委員(司法担当)が明らかにした。同委員は「最近の情勢に鑑み、インフラの安全をさらに強化する必要が生じるかもしれない」と述べた。

ロシアがノルドストリームのパイプラインシステムを意図的に破壊したとの西側諸国の非難に対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「愚か」であり、「ばかげている」と反論した。

ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムは27日遅く、法的な争いが理由でロシアがウクライナの国営ガス企業ナフトガスに制裁を科す恐れがあり、そうなればロシア産ガスの西欧向け供給で唯一稼働しているウクライナ経由のパイプラインを止める可能性があると警告していた。だが、ナフトガスはガスプロムが10月分のガストランジット料金を既に支払ったと発表。ウクライナ経由の欧州向けガス供給が直ちに停止することへの懸念はある程度緩和した可能性がある。

原題:Germany Says Infrastructure Faces Security Threat: Energy Update(抜粋)

 

©2022 Bloomberg L.P.